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不平
「不平も〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
不平もの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て大騒ぎをせねばならぬような、あんな面倒臭い現世の生活を送りながら、よくも格別の
不平も言わずに暮らせたものである……。私はだんだんそんな風に感ずるようになったの....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
活を、やむを得ぬ、苦しい、しかし当然な正しい生活として、誇りもなく、矯飾もなく、
不平もなく、素直に受け取り、軛にかかった輓牛のような柔順な忍耐と覚悟とをもって、....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
だが、僕等もそんないやらしいことを云われようとは少しも思って居なかったから、僕の
不平もいくらかの理はある。母は俄《にわか》にやさしくなって、 「お前達に何の訣も....
「転機」より 著者:伊藤野枝
には、黙って一人きりでその問題について考えていた。Tのいったことも、漸次に、何の
不平もなしに真実に受け容れる事ができてきはしたけれど、最初からの私自身が受けた感....
「端午節」より 著者:井上紅梅
いずれこの少年が子供を持つと、大概こんな大|見栄を切るのだろうと、そう思うと何の
不平も起らなくなった。また兵隊が車夫を擲ると以前はむっとしたが、もしこの車夫が兵....
「一坪館」より 著者:海野十三
寸法だ。あつい壁があるから、中へはいると寸法がちぢまっているのだ。 でも少佐は
不平もいわず、ゆかいな歌を口笛でふきながら、三階でやすんだ。 建築競争 「....
「荘子」より 著者:岡本かの子
いて貧しい栄えない生活にはいってからも、昔の豪奢な育ちを忘れ果てた様に、何一つの
不平もいうところなく彼に従って暮して居る。きりょうも痩せては居るが美しかった。荘....
「婦人の過去と将来の予期」より 著者:小川未明
、共楽の社会を建設するための犠牲なのだ。自欲のための忍従であり、労働であればこそ
不平も起るけれど、真理への道程であると考えた時には、現在の艱苦に打克つだけの決心....
「雨」より 著者:織田作之助
自分があろうとは夢にも思わず、あるがまゝの人生にあるがまゝに身を横たえて、不安も
不平もなかった。境遇に抗わず、そして男たちに身を任せた。蝶に身を任せる草花のよう....
「わが町」より 著者:織田作之助
た。それで、尋常科を卒て、すぐ日本橋筋の古着屋へ女中奉公させられた時は、すこしの
不平も言わなかった。どころか、半年余り、よく辛抱が続いたと思うくらい、自分から進....
「ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
母さん」のどこへ向けられるべきだろう。彼が今日にも出てゆくと言っても彼女が一言の
不平も唱えないことはわかりきったことであった。それでは何故出てゆかないのか。生島....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
うなわけではあるまい。所詮は鴎外の諦めても諦らめられぬ鬱悶を消する玩具であろう。
不平もあれば皮肉もある。嫌味も交る。しかしそこには野趣がある。鴎外はここではじめ....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
が更け酒肴が徹せられた、甚内は寝間へ誘われたが、容易にお米の寝ないのを見るとちと
不平も萠して来る。で、蒲団の上へ坐り、不味そうに煙草を喫い出した。 「お米」と甚....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
らだ! 爺が政治を執っているからだ。で俺は飾り物だ! 虚器を擁しているばかりだ!
不平もあろう、淫蕩にもなろう、残忍にもなろう、酷薄にもなろう! しかも関白をやめ....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
であり、円満の境地は、一切無差別、平等の境地であり、この境地へ悟入った人間には、
不平も不安も不満もない。そういう境地を模様で現わしたものが曼陀羅だ。……この紙帳....