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「不眠の〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

不眠のの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
バットクラス」より 著者:岡本かの子
具の磨きのぴかぴか光る騎馬が一騎高くいななき乍ら眼近の道芝に蹴込んで来た。彼女は不眠の眸瞼に点薬するように逆に第三から第一の窓外風景を今一度のぞき返した。 多....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ある。してみるとこのうえもない宿である。 第二日――。 一行全部ひどい下痢と不眠のなかで明けていった。湿林の瘴気がコレラのような症状を起させ、一夜の衰弱で目....
競馬」より 著者:織田作之助
、眠れぬ夜が続いた。ある夜ふとロンパンの使い残りがあったことを想い出した。寺田は不眠の辛《つら》さに堪えかねて、ついぞ注射をしたことのない自分の腕へこわごわロン....
器楽的幻覚」より 著者:梶井基次郎
のなかに没入させることができたことを感じた。私はその夜床へはいってからの不眠や、不眠のなかで今の幸福に倍する苦痛をうけなければならないことを予感したが、その時私....
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
重ねての令を待つべし」とふれ渡った。 しかし、昨夜の興奮を持ち続けて、ほとんど不眠の有様で、今日の手合せを待っていたわが越前少将忠直卿は、かかる布令を聞かばこ....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
、秘密の物のけはいを偵察していたのだ。ぽたぽたと、ざわざわと、星の閃きが柔かな、不眠の広野の上に落ち散る。重く血を満した凡ての果実が、黄いろい月、そのふくよかな....
生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
目の中が見えてどうしても眠れないものが、今はどんなことがあっても眠れる。絶対的の不眠のときには目を開いても眠られるということがわかった。はからいがやんだときに、....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
欺し方というものは大体さほどに深刻なものではないと思う。時に深夜の腹芸によって、不眠の夜の御機嫌を伺い奉る位のものではないかと私は考えている。あるいは逃げ出す時....
わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
起るか、ということについて、人はあるいはこれを鬱病というかも知れない。私は単純に不眠のせいだ、と答える以外に法がない。 伊東に来て以来、私は親しい友人たちの愛....
恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
え繰り返るような焦燥に駆られて、敬二郎は夜もろくろく眠ることができなかった。その不眠の焦燥がまた彼の神経をなおも酷《ひど》く衰弱させて、さらに激しい憂鬱と不安と....
」より 著者:島木健作
の旅に心身ともに疲れはてていたのである。それから三日間ばかりというもの続けて彼は不眠のために苦しんだ。一つは居所の変ったせいもあったであろう。しかし、昼も夜も自....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
。ただ杏庵は日ごろ好酒家の半蔵が飲み過ぎの癖をよく承知していたし、それにその人の不眠の症状や顔のようすなぞから推して、すくなくも精神に異状のあるものと認め、病人....
決闘」より 著者:神西清
の何物かに対する恐怖、また近づきつつある夜に対する恐怖であった。……その夜が長い不眠の夜であろうこと、それに考えごとも、フォン・コーレンや彼の憎悪のことばかりで....
東京八景」より 著者:太宰治
れを使用したのであったが、やがて私は、その薬品に拠らなければ眠れなくなった。私は不眠の苦痛には極度にもろかった。私は毎夜、医者にたのんだ。ここの医者は、私のから....
人間失格」より 著者:太宰治
ても、平気だったのです。世の中の人間の「実生活」というものを恐怖しながら、毎夜の不眠の地獄で呻《うめ》いているよりは、いっそ牢屋《ろうや》のほうが、楽かも知れな....