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冬着
「冬着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冬着の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「明暗」より 著者:夏目漱石
た。
「布《きれ》は買ったのかい」
「いいえ、これあたしの御古《おふる》よ。この
冬着ようと思って、洗張《あらいはり》をしたまま仕立てずにしまっといたの」
なる....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
世帯道具がひと通り整うと、今度は冬の近いのに脅かされなければならなかった。一枚の
冬着さえ持たない我々は、どんな粗末なものでも好いから寒さを防ぐ準備をしなければな....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
眼のしょぼ/\した、何処やらのっぺりした男である。安さんは馬鹿を作って居る。夏着
冬着ありたけの襤褸の十二一重をだらりと纏うて、破れしゃっぽのこともあり、黒い髪を....
「世界の寡婦」より 著者:宮本百合子
の考えかたはあまり遠大で、理想倒れだと思うかもしれない。それよりも、目前の一枚の
冬着を、とはげしく求める感情もあるであろう。しかし、私たちは、よくよく思いひそめ....
「わが父」より 著者:宮本百合子
出たこともあった。大学生時代、うちの経済が苦しくて外套は祖父のお古を着ていたが一
冬着ると既にいい加減参っている裾が忽ちボロボロになる。すると、おばあさんがそこだ....
「巴里の秋」より 著者:岡本かの子
は迎えいれて、むしろ人達を惑わせる。そうなると、街路樹の葉が枯葉となって女や男の
冬着の帽や服の肩へ落ち重なるのも間のない事だ。 ハンチングを横っちょにかむり、....
「農村」より 著者:宮本百合子
をゆすっていかにも頼もしい様子をする。この男は、夏にある点呼の時にいつでも、厚い
冬着を着て行って、湯をあびて帰って来るのが常だ。何故そんなひどい思をするのかとき....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
あろうかと。そして、あなたのかりていらしたという家を眺め。 そちらで着物はもう
冬着ではむさくるしいでしょうか、まだ袷《あわせ》は早いかしら、夜具も、うすいのを....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
を思いながらこれを書いている家の門には軒並みの旗が立っていて、物干しにはあなたの
冬着が、名を書いたほそい紙片をヒラヒラさせながら干されている。 私は仕事に対す....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
較の上で安全の多いところへ移すことにして、疲れない程々にやって居ります、あなたの
冬着を心配してそれ丈はどうやら一番がけにうつしましたが。私にしろやはりふとんもき....
「日記」より 著者:宮本百合子
快晴、すずしく寒い西南の風が吹き通る。桐の葉きばみ、深夜、枕に虫の声が通う。
冬着入かえのためにトランクをあけ、紐育《ニューヨーク》時代の外套、ビロードの着物....
「十番雑記」より 著者:岡本綺堂
や世帯道具が一通り整うと、今度は冬の近いのに脅かされなければならなかった。一枚の
冬着さえ持たない我々は、どんな粗末なものでも好いから寒さを防ぐ準備をしなければな....
「春心」より 著者:田中貢太郎
ますよ」 「そうかね」 「お庭へ、ちょっとお出でになっては」 「わたし、これから
冬着の始末をしなくちゃならないからね」間をおいて、「平どんにでも手伝わしておくれ....
「濞かみ浪人」より 著者:吉川英治
と云えば、洗い物を持っていらっしゃいと云ってくれるし、寒くなれば、知らない間に、
冬着を縫っておいて、 『お国元から参りましょうが、お間に合せに、お召しくださいま....