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分身
「分身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
分身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
から下界へ向けて虹をかけ渡していた。 西国にて知れる限りの山々を翁はみな自分の
分身のように感じられた。翁は山々を愛するがゆえに、それ等の山々の美醜長短を、人間....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
た。こうして見ていても、彼女の胸は少しも轟《とどろ》いてはいず、眼前にある自分の
分身でさえも、まるで害のない家畜のように、自分にはその影響を少しもうけつけないと....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
しかかった。同時にその場合の大事がクララを思いとどまらした。クララは肱をついて半
分身を起したままで、アグネスを見やりながらほろほろと泣いた。死んだ一人児を母が撫....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ようなしなやかな手つきをして、更に女中の持って来た果物を勧めたりした。 始終七
分身の態度で、款待しつづけ、決してかの女の正面に面と向き合わない夫人の様子に、か....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ールさんの咽喉に印されていたという父の指痕は――あの恐竜の爪痕は、いったい貴方の
分身なのですか」
「恐竜※」と法水は、噛むように言葉を刻んで、「なるほど、恐竜と....
「春の上河内へ」より 著者:板倉勝宣
吊したアザラシの皮が微風にゆれて、凍った毛が油紙をサラサラと撫でていた。月だと半
分身体を起して、油紙を少しはずした。星が見えた。次に月が見えた、谷川の雪のうねり....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
方法によってできるのか、ついに謎のまま残されることになった。蜂矢十六は、それは多
分身体にある特殊の振動を加えることではないかと思うと道夫にちょっと語ったが、息た....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
白い立姿で、蘆戸の蔭へ透いて映ると、すぐ敷居際に――ここに今見ると同じ、支膝の七
分身。紅、緋でない、水紅より淡い肉色の縮緬が、片端とけざまに弛んで胸へふっさりと....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
して好き嫌いをつけている。後向き、好き。少し横向き、少し好き。真横、好かない。七
分身、やはり少し。では真向きの全身――椅子を直すふりして女客は立ち上った。が、真....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
とを、姫路行の汽車で東京へ帰ろうとしたのでありました。――この列車は、米原で一体
分身して、分れて東西へ馳ります。 それが大雪のために進行が続けられなくなって、....
「暗号数字」より 著者:海野十三
まうと、政府にとってたいへんな損害ですから――それから云うまでもありませんが、十
分身辺を警戒して下さい」 そういって木村事務官は、車馬賃として金一万円也の紙幣....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
おる、左に右く現に文学を以て生活しつつある以上は仮令素志でなくても文学にもまた十
分身を入れてもらいたい、人は必ずしも一方面でなければならないという理由はないから....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
いたが、警官の姿を視るや俄に恐怖と狼狽の色を現わして、頻に手足を悶いていたが、何
分身動きも自由ならぬ重傷である、彼は呻りながら又倒れた。 崖の上ではおういおう....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
戴きたい、もう私どもは死んで後の事より外に何も望みがないと大層喜んだです。私は随
分身体も疲労して居りますし余り道を急いで自分の身体を悪くしてしもうてもならんから....
「快走」より 著者:岡本かの子
友達が言ってるように、自分の娘が月光の中で走るところを見たくなったよ…………俺の
分身がね、そんなところで走ってるのをね」 「まあ、あんたまで変に好奇心を持ってし....