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「号砲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

号砲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
こころ」より 著者:夏目漱石
。御大葬《ごたいそう》の夜私はいつもの通り書斎に坐《すわ》って、相図《あいず》の号砲《ごうほう》を聞きました。私にはそれが明治が永久に去った報知のごとく聞こえま....
海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
のだった。 冬期の北海道は霧がはなはだしかった。汽船で鳴らす霧笛、燈台で鳴らす号砲のような霧信号。海へころがり込んだフットボールのような万寿丸は、霧のために、....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
と丁度午後の一時より五分前だ。 一時の鳴るが合図であると、殆ど競馬の馬が出発の号砲を待つ様に、余は張り切って緑盤の許に行き、今にも一時の鐘が鳴るか、今にも一時....
田原坂合戦」より 著者:菊池寛
口を夫々攻撃することになり、参軍山県中将も本営を高瀬に進めた。十四日の午前六時、号砲三発山に木魂すると共に、官軍の先鋒は二俣口望んで、喊声を挙げる。歩兵に左右を....
運命」より 著者:幸田露伴
三たび砲を放ったり。南軍誤って此を我砲となし、争って急に門に趨きしが、元より我が号砲ならざれば、門は塞がりたり。前者は出づることを得ず、後者は急に出でんとす。営....
道標」より 著者:宮本百合子
二つ、と時をうって十時を告げ終ったとたん、赤い広場からそう遠くないところで数発の号砲がとどろいた。 メーデイの儀式と行進とはこうして、うすら寒い五月の赤い広場....
あそび」より 著者:森鴎外
一時半頃になると、遠い処に住まっているものだけが、弁当を食いに食堂へ立つ。木村は号砲が鳴るまでは為事をしていて、それから一人で弁当を食うことにしている。 二三....
倫敦の一夜」より 著者:岡本綺堂
六月二十八日の午後六時、ハイド・パークの椅子によりながら講和条約調印の号砲を聞いた。号砲は池のほとりで一発又一発とつづけて打ち出されるので、黄い烟が青....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
西洋踊りは現れなかったが、今のストリップと同じ意味で流行したのが女相撲であった。号砲一発の要領でチョッキリ明治元年から各地に興行が起ってみるみる盛大に流行し、明....
競漕」より 著者:久米正雄
一瞬間の強風に曲げられた。「ええままよ、もうなるようになれ」と久野は眼を瞑った。号砲が鳴り渡った。久野は用意と号砲との間がほんの一瞬時であったのに、ひどく永いよ....
月世界競争探検」より 著者:押川春浪
分の飛行船の各部を詳細に検査して、見送りの人々に一礼してその中に這入って、静かに号砲の鳴るのを待ち構えている。 観衆はいずれも息を潜めて瞻視ている。 やがて....
」より 著者:森鴎外
は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。誰でも時計を号砲に合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。上条の帳場の時計も折々岡田....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
|玻璃窓《はりまど》の中に姿を現わし来たる。折しもあれやバロン山で打ち出す三発の号砲は、午後二時より催される謝肉祭仮装大行進発程の合図。満堂の異形の群集は、明《....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
んな呑気なものか、一つやって見たいという位の面白味を感ずるです。この日まず一発の号砲と同時に兵士が繰出すので、もっとも目貫として見るべきは、釈迦堂の西の部で釈迦....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
多く釣り得たるものに賞品を与え、もって余興を助く。 二十九日、晴れ。午前二時、号砲を放ちて出航し、ようやく帰程に上る。十時ボスコップ湾に入る。船客またみな上陸....