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「筆つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

筆つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《そとがま》えで、美濃紙《みのがみ》のくすぶり返った置き行燈《あんどん》には太い筆つきで相模屋《さがみや》と書いてあった。葉子はなんとなくその行燈に興味をひかれ....
雛妓」より 著者:岡本かの子
元気づけに君に見せてやるか」 逸作は人生の寂しさを努めて紛らすために何か飄逸な筆つきを使う画家であった。都会児の洗練透徹した機智は生れ付きのものだった。だが彼....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
これが昔のわが妻であったとかいう類で、これは幸田露伴氏の『二日物語』にすばらしい筆つきで描かれているが、しかし西行のこととしては、どうにも本当か嘘か判らない。け....
俊寛」より 著者:倉田百三
見る)乳母の六条の手紙に添えて、わしの小さな娘の手紙も入れてある。何という可憐な筆つきだろう。六条よ、あゝおまえの忠義は倍にして報いられますぞ。(手紙を読みつづ....
「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
を開いて御らんになると、筆はたっしゃだけれ共いかにもわけの有さうな、よわよわしい筆つきで、 我恋は細谷川のまるき橋 ふみかへされてぬるるそでかな 女院「マア、....
野ざらし」より 著者:豊島与志雄
。何なら読んでごらんなさい。この間の消息が可なり詳しく、執拗すぎると思われる位の筆つきで書かれていますから。 で、要するに、その頃僕の心は、可なり妻から離れて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
絵がわかるかね」 とたずねたときに我にかえって、 「うむ、絵はわからねえけれど、筆つきが面白いなあ」 「そうか、一枚描いて上げようか」 「いらねえ――」 すげ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
なものをかくから不思議なものさ。芸者なぞをかかしても、なかなかいい芸者をかくし、筆つきに癖はあるが、女にイヤ味はないよ、頂戴してもいっこう不足はない…… しか....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
たり、和風家の内に吹くことさてもはかなき――」 何の意味とも知れないが、その筆つき優にやさしく、前の大吉、あやめの二人名の女文字になんとなく通うものがありと....
斗南先生」より 著者:中島敦
なった薄樺色地の二枚の色紙には、瀕死の病者のものとは思われない雄渾《ゆうこん》な筆つきで、次のような和歌がしたためられていた。 あが屍《かばね》野にな埋みそ黒....
大塚楠緒子」より 著者:長谷川時雨
行本になりました。『朝日新聞』にて『空《そら》だき』をお書きなすってから、作風も筆つきも殊更《ことさら》に調ってきて、『空だき』の続稿の出るのがまたれました。が....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
て語らない。 いよいよ怪しい――弓一筋の家からぐれ出た小悪人、そう言えば矢文の筆つきも武張っていた。藤吉、抜いた時の要心をしながら、なおも一つ問を重ねて行った....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
から」と、惣七がいいかけていた。「最後に、こんな馬鹿げたのを一つ書いてもらおう。筆ついでだ。いや、着物を買い過ぎて、呉服屋へ借金のかさんだ女へ、その呉服屋に代わ....
朝御飯」より 著者:林芙美子
ら、郊外の待合《まちあい》で朝御飯を食べるところが描写してあった。なかなか達者な筆つきで、如何《いか》にも安待合の朝御飯がよく出ていたが、女主人公が、御飯と茶の....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
は別にそれを気にとめて考えて見ようともしなかったが、一手紙毎に、姑のたどたどしい筆つきを通して、ますます其処に描かれている圭介の此の頃のいかにも打ち沈んだような....