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胸に迫る
「胸に迫る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
胸に迫るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
から長方形の青空をながめながら、この笑い声を聞いていると、ものとなく悲しい感じが
胸に迫る。
講談がおわるとほどなく、会が閉じられた。そうして罹災民諸君は狭い入....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
早落胆せざらんと欲するも得ずだ。其のうちに愈々夜に入った、万感|交々《こもごも》
胸に迫るとは此の様な場合を云うだろうか。勿論腹は益々空く一方だが、寒さも追々に強....
「俊寛」より 著者:菊池寛
であるかが分かった。その間、清盛に対する怨みや、妻子に対する恋しさが、焼くように
胸に迫ることがある。そんなとき、彼は常よりも二倍も三倍も激しく働く。むろん、島に....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
れきって、ぱっちり眼を開いた五十男の皮肉と鋭利と、醒めきった人のさびしさが犇々と
胸に迫るものがあった。朝日から露西亜へ派遣された時、余は其通信の一|行も見落さな....
「道標」より 著者:宮本百合子
、彼らの多くは学生たちです、と答えた。
トインビー・ホールから帰る道々、伸子は
胸に迫る鮮やかさと感動とをもって、モスク※大学の円屋根の下に記されている字を思い....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
を囲繞《いにょう》する筈の光輝であるのを思うと、正隆は堪え切れない思いが、自ずと
胸に迫るのを覚える。 希望は不死鳥なのか、不思議な未来への願望。それを飽くまで....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
騒ぎが大きい。 面白そうに笑って作業をしながらも、天外の漂流者という孤独の感が
胸に迫る。 鼠色の印象(暴風雨前の富士山及び白峰山脈) 汽車の中は、蒸....
「初夏(一九二二年)」より 著者:宮本百合子
一字一字 我書く文字の間《ひま》から 生き、泣き、笑い、時代を包む人生が 読者の
胸に迫るのだ。 ほの白い原稿紙 午後五時のひかり 暫く その意味深い空虚のままに....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
男まげに雄渾《ゆうこん》に結い上げたところもいや味にはならず、なんだか豪侠な気が
胸に迫るようにも思われます。 それに、こってりと濃い化粧をした女の顔も、吉原あ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ちょっと合《あい》の手《て》に、それを取り上げて見ると、北斎の挿絵が、キビキビと
胸に迫るもののあるのを覚える。本文は読まずに飛ばして、紙を二三枚めくると、そこに....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
曲者《くせもの》ではないかと考え、何かほかに重大なる黒い影を持つ男ではないかと、
胸に迫るものがありました。 しかし、田山白雲は事柄を、もう少し単純に考えて言い....
「陳情書」より 著者:西尾正
計って石段を駈け上って行きました。 私が斯うして尾行して居る裡に、異常な快感の
胸に迫るのを覚えた事を告白しなければなりません。他人の弱点を抑え雪隠詰《せっちん....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
のうちは急いで行きたかったが、ふるさとの町に近づくと、馬の歩みをゆるめた。万感の
胸に迫るのを抑えかねたのだ。年少のころ親しんだ場面を通り過ぎていったが、それは六....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
キリストのような平和な眼つきをし、はにかんだような表情をする顔のやさしさはなにか
胸に迫るようだった。 満寿子さんは精神のバランスがとれなくなるほどこのひとを好....
「動く絵と新しき夢幻」より 著者:小川未明
何にも作者自身が自然に対して思った孤独と云った感じが、一種云い難い力を以て読者の
胸に迫るのを感ずる。独歩その人が悠々たる自然に対して独り感じたんだなと思うその姿....