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あけぼの
「あけぼの〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
あけぼのの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
かむらざ》を見物した帰り途に、たしか珍竹林《ちんちくりん》主人とか号していた曙《
あけぼの》新聞でも古顔の記者と一しょになって、日の暮から降り出した雨の中を、当時....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
る――と、遠くでかすかながら、勇ましい一番鶏《いちばんどり》の声がした。
「春は
あけぼの、ようよう白くなりゆく」時が来たのである。
(大正五年十二月十三日)....
「男女同権」より 著者:太宰治
の働いている印刷所にも、その詩の連中が機関雑誌を印刷してくれと頼みに来まして、「
あけぼの」という題の、二十頁そこそこのパンフレットでございましたから、引受けて印....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
て御覧に入れまするは、露に蝶《ちょう》の狂いを象《かたど》りまして、(花野の曙《
あけぼの》)。ありゃ来た、よいよいよいさて」 さて太夫はなみなみ水を盛りたるコ....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
考えられる。「鶯《うぐいす》の声まだ渋く聞《きこ》ゆなり、すだちの小野の春の曙《
あけぼの》」というときの渋味は、渋滞の意で第一段たる「正」の段階を示している。そ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
るうちに、しだいとあの異様な熱ばみが去り、ようやく彼女の心に、仄《ほの》白い曙《
あけぼの》の光が訪れてきた。それはちょうど、あの獣的な亢奮のために、狂い出したよ....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
鏡に向い若い時から人にほめられた黒髪を撫でつけながら、まことに十九年のなじみ此の
あけぼのの夢と歎き、気を取り直して二人の子供をしずかに引起せば、上の女の子は、か....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
たたび小屋へと向ったが、二度目に我々の黄金の荷を小屋におろしたのは、ちょうど曙《
あけぼの》の最初の光が東の方の樹々《きぎ》の頂から輝きだしたころであった。 一....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
かな着物をつけていました。貂の皮でふちを取った広い袖からは、光りも透き通るほどの
あけぼのの女神の指のような、まったく理想的に透明な、限りなく優しい貴族風の手を出....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
しわ手は、 わかい日本の脈音だ。 くぬぎ、赤松、ほのぼの白みゃ、 さあさ、世界の
あけぼのだ。 板木鳴る、鳴る。張りきる胸だ。 咲いたつつじが照る日に燃えりゃ、 ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
をここらで、惜しみをもってではあるが、終ることにしよう。 年少時代 比叡尾の山の
あけぼのに くれない匂う花がすみ 日熊の紅葉錦繍の もすそに寄する霧の海 万岳の....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
星布女は天明第一の女流。あふひ夫人は大正初期から、かな女氏につぐ老練な作家。共に
あけぼのの桜を題材として、片方は次第次第に明けしらみゆく花をうたい、他方はなおも....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
の中には小さい岩がところどころにそそり立って、先刻までは黒くばかり見えた落葉が、
あけぼのの光りに紅く黄いろく輝いて渦巻いていた。 「ほう、美しい。」と、小坂部は....
「西航日録」より 著者:井上円了
起成何事、遥向東方拝聖恩。 (西|竺にて今朝は元旦を迎う。海の風は暖かさを送り、
あけぼのの光もあたたかい。旅人は早く起きだして何をするかといえば、はるかな東方に....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
る月のひかりもかをる心地こそすれ 梅が枝の花に木づたふうぐひすの声さへにほふ春の
あけぼの 春はなほ花のにほひもさもあらばあれただ身にしむは曙の空 花ざかり春のや....