»
あたふた
「あたふた〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
あたふたの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
た。青年の前に座を取っていた四十三四の脂《あぶら》ぎった商人|体《てい》の男は、
あたふたと立ち上がって自分の後ろのシェードをおろして、おりふし横ざしに葉子に照り....
「或る女」より 著者:有島武郎
すともね。愛さん!」
大きく呼ぶと階下にいた愛子が平生《へいぜい》に似合わず、
あたふたと階子段《はしごだん》をのぼって来た。葉子はふとまた倉地を念頭に浮かべて....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
一所にして、教頭は室の真中に、ぼんやりと突立つ。 河野の姿が、横ざまに飛んで、
あたふた先へ立って扉を開いて控えたのと、擦違いに、お妙は衝と抜けて、顔に当てた袖....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
した。どうか総監閣下によろしく……」 そういうと、高屋市長は中谷助役を促すと、
あたふたと室外へ出ていった。その市長の顔は、無髯無髭で、なんのことはない肥った中....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
るんだ。おい番頭君、早く電流を断つんだよ!」 学生風の男に云われて、由蔵は漸く
あたふたと釜場へ通う引戸を押して奥の方へ姿を消した。 バタバタと板の間を走る足....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
ッと顔色を変えた。そして国太郎の訊問を一時中止すると、二三の部下は何事か囁いて、
あたふたと一緒に自動車へ飛び乗った。 夜は既に三更に近かった。 自動車を棄て....
「電気看板の神経」より 著者:海野十三
れにくぐりぬけてきたことも知らずに、いつもの定席に腰を下した。すると奥から鈴江が
あたふたと出て来るなり岡安の前へペタンと坐って、「オーさん、大変よ。きいても大き....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
たけ早く帰ってきとくれよ、お前さん」 「あいよ、判ってるよ」 亀さんは、また、
あたふたと、町角のパン屋の高声器を目懸けて、かけ出して行った。 パン屋の軒先は....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
似ず、この上展望室に立っていられなくなり、大急ぎでそこを出た。そして階段づたいに
あたふたと記者倶楽部へ逃げもどってきた。 そのとき室内には、居る筈と思ったベラ....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
前夜の酒と御馳走に夢中になっていたので、三浦をほうりこむと、そのくさい部屋から、
あたふたと出ていった。だから、三浦が、太刀川の足の枷をほどくことはなんでもなかっ....
「太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
たように、唇の色をなくしていました。 「船長。どうも変です」 一人の通信手が、
あたふたと船橋に上ってきました。 「どうしたのだ」 あから顔の太った船長が、思....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ちっとでも里数の少い方がお詫がしいいだろうでもって、馬鹿さが堪らない。お前さん、
あたふた、次の駅で下りましたがね。あわてついでに改札口だか、何だか、ふらふらと出....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
残念で堪りませんから碌に返事もしないでおりますと、灯をつけるとって、植吉の女房は
あたふた帰ってしまいました。何も悪気のある人ではなし、私とお米との仲を知ってるわ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
していらっしゃいましよ。」 島野は多磨太が先じたりと聞くより、胸の内安からず、
あたふた床几を離れて立ったが、いざとなると、さて容易な処ではない。ほぼ一町もある....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
恐ろしさで体が、がたがたふるえてきた。大あわてで仕事をすませ、道具を片づけると、
あたふたと部屋をでていった。 台所にくると、ヘンフリイは、いそがしそうに働いて....