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いたや
「いたや〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
いたやの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
なさそうに犬の頭を撫《な》でてやった。
「この間、栗原《くりはら》の家《うち》に
いたやつを貰って来たんだ。」
野村は給仕の持って来た珈琲を俊助の方へ押しやりな....
「或る女」より 著者:有島武郎
。船に酔ったからではない。始めて遠い航海を試みる葉子にしては、それが不思議なくら
いたやすい旅だった。ふだん以上に食欲さえ増していた。神経に強い刺激が与えられて、....
「鮨」より 著者:岡本かの子
け、その間から痩せたうす紫の花房が雫のように咲き垂れている。庭石の根締めになって
いたやしおの躑躅が石を運び去られたあとの穴の側に半面、黝く枯れて火のあおりのあと....
「美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
何を隠さう、彼はチユウリツプの花を知らなかつた。『チユウリツプ、チユウリツプ、き
いたやうな名だが……。』と二三度口の中で繰返したが、てんで、どんな花だか見当さえ....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
るのは、この立ち喰いの屋台寿司に限るのだった。僕は、鼻から眼へ抜けるほど山葵の利
いたやつを十五、六も喰べたであろうか。それから別にお土産を二人前ほど包んで貰って....
「蠅男」より 著者:海野十三
「そら、さっきの二人に帆村はんが云やはりましたやろ、東京は暖いとか、雨が降って
いたやろとか、燕で来たやろ、娘はんの家は板橋区の何処やろとかナ。二人とも、顔が青....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
悪い気持じゃない。しかし少々面くらった僕は、あわてて、ちょうどその前を通って
いたやはり寄席のようなうちの中へ飛びこんだ。 ドアをあけて、はいるにははいった....
「恐竜島」より 著者:海野十三
、ケー」 ダビット技師が、うなずいていった。 「よし、分った」ケンはロープを巻
いたやつを軽くふりまわしはじめた。 「おーい、隊長。今いくよ」 伯爵が上をむい....
「人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
たソ連戦車をどろどろに熔かした怪事件がありましたが、そのときあのへんをうろついて
いたやはり二人づれの怪少年少女があるのですが、どっちも同じ人物らしいことです。こ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
ている手をふりはらって、がばと起きあがった。 と同時に、彼の枕許にうずくまって
いたやさしい声の主と、ぱったり顔を合わした。それは外ならぬ怪しい中国人のペンキ工....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
れが直き近所の車夫の看板から、今しがた煙草を吸って、酒粘りの唾を吐いた火の着いて
いたやつじゃございますまいか。 なんぼでも、そうまで真になって嬉しがられては、....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
昼間|歩行き廻った疲労と、四五杯の麦酒の酔に、小松原はもう現々で、どこへ水差を置
いたやら、それは見ず。いつまた女中が出て去ったか、それさえ知らず。ただ洋燈の心を....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
を町の通へ賑やかに明け放っていた。ムッシュウ・ドュフランはしばらく立止って聴いて
いたやがて自分も口惜しくなって町へ向って叫んだ。 「ばか! ラジオの馬鹿!」 ....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
か何かをやつたことなどを報告してきて、しきりに演劇のほうへ進みたい意向をもらして
いたやさきなので、私は同じことならこれからは映画のほうが有望だと考え、松竹の試験....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
でもう八歳というのに、村の地主へ守児の奉公や。柿の樹の下や、廐の蔭で、日に何度泣
いたやら。――それでもね、十ウの時、はじめて両親はあかの他人じゃ、赤子の時に村へ....