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「おちょぼ口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

おちょぼ口の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
女の決闘」より 著者:太宰治
、この世の学問にあこがれ、「あの、鴎外先生のおっしゃいますることには、」などと、おちょぼ口して、いつ鴎外から弟子《でし》のゆるしを得たのか、先生、先生を連発し、....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
にこりともせずに、固い表情で踊っていた。つんとした感じを僅かに救っているのは、おちょぼ口をした可愛い唇であった。済まし込んで踊っているのだと、見れば見られたが....
自叙伝」より 著者:大杉栄
真黒な顔一ぱいに広がった大きな口から、教室じゅうに響き渡る、太いバスが出て来た。おちょぼ口をして聞えるか聞えないような声を出している、女の先生の声ばかり聞いてい....
新ハムレット」より 著者:太宰治
あげて、いったい君は、どうしたのです。なにが朗読劇だ。遠い向うの、遠い向うの、とおちょぼ口して二度くりかえして読みあげた時には、わしは、全身、鳥肌になりました。....
もの思う葦」より 著者:太宰治
感想なんて! まるい卵もきり様ひとつで立派な四角形になるじゃないか。伏目がちの、おちょぼ口を装うこともできるし、たったいまたかまが原からやって来た原始人そのまま....
丹下左膳」より 著者:林不忘
たのを見ると、お蓮様づきの侍女、早苗《さなえ》です。 玉虫色《たまむしいろ》のおちょぼ口を、何事かこころもちあえがせて、 「峰様におたずね申しあげます。お蓮様....
あの顔」より 著者:林不忘
いい小さな頤《あご》を、引き気味にしていた。ぞっとするほど通った、高い鼻だった。おちょぼ口が、いまにも噴飯《ふきだ》しそうに歪んでいた。自分の生れるまえから相識....
鼻の表現」より 著者:夢野久作
戴致します」 と云いながらちっとも頂戴する気にならない気もちは、細く波打つ眼とおちょぼ口との間にありありと見えすいているものであります。 男と死ぬ約束をして....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ニコリとしたような表情だ、私は薬指のさきに、薄めた清酒をつけて嘗《な》めさせるとおちょぼ口をした。 「ほう、観音様だな。」 傍から首を出した妹を見てお世辞をつ....
千世子」より 著者:宮本百合子
から千世子は小形のグラッスに白いブドウ酒をもって来た。 Hはそれを娘がする様におちょぼ口をしてのんだ。酒に弱いHの目のふちや頬はポーッと赤らんで来た。千世子は....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ふくろ小路《こうじ》だ。にげみちはない。 と、とっさに看取した櫛まきお藤、おちょぼ口を袖でおさえると、ひとりでに嬌態《しな》をつくった。 「あれさ、野暮《....
丹下左膳」より 著者:林不忘
れ出た。濃いおしろい、前髪のしまった、髱《たぼ》の長く出た片はずし……玉虫いろのおちょぼ口で、めいめい手に手に、満々と水のはいった硝子の鉢を捧げている。 それ....
あなたも私も」より 著者:久生十蘭
二十一二というところか。男にしては、すこし色が白すぎる。ぽってりと肉のついた、おちょぼ口をし、かわいいくらいの青年だ。遠目に見たところでは、中村錦之助の兄の芝....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
でれでれと二等の一組。男は中脊の目尻下り、女は髪を等分の、これはこってりの、おちょぼ口。その恋々相愛の、手に肩、肩に頬を寄せて、私たちの見る眼も憚らぬ御遊歩....