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お便り
「お便り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
お便りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
やは三隅さん母子と連れ立って南を向いて歩いた。
「星野さんがお帰りてから何んとか
お便りがありましたか」
と大通り近くに来てからお袋が婆やに尋ねた。
「何があな....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
歩行き歩行き、 「ほんとうに機嫌を直して、貴女、御世話下さい、なまじっか、貴女に
お便り申したために、今更|独じゃ心細くってどうすることも出来ません。もう決して貴....
「河明り」より 著者:岡本かの子
んでしょう……」と云った。 娘は黙ってごく普通に肯いて見せた。 「木ノさんから
お便りありまして……」と同じ芸者はまた娘に訊いた。 「ええ、しょっちゅう」と娘は....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
た二十八と云う実際よりは若く見えた。静子と云う名も人柄に相応しい。 「御主人から
お便りはありませんか」 石子は打|萎れた細君に幾分同情しながら聞いた。 「はい....
「小公女」より 著者:菊池寛
うに低く出来ているのよ。みんなそこから下界を覗いては、にっこり笑って、そしていい
お便りを送って下さるのよ。」 セエラがどんな話をしたにしても、ロッティはきっと....
「幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
熊野の小母さんへ。 あなたには四、五年も昔から、よく
お便りしてます。けれど、こんな殺風景な紙に、宿命的な味気ない字を書くことは、はじ....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
りあげてさけびました。 「手紙だ、手紙だ、おとうさん、ばんざい!」 「ええ、いい
お便りです。おとうさんは、おたっしゃで、案じていたほどでもなく、この寒い冬を元気....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
あなたとあなたのお友だちのマチアのことを思い出さないことはありません。ときどきは
お便りを寄こしてください。あなたはほんとに優しい、いい子です。どうかせっかくうち....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
恋しい人、たがいに離したくない、懐かしい人……。 ところが、今日末起ちゃんの
お便りをみますと、あたくしの名を、刻んだほうの切り口から樹液が湧きだして、あなた....
「火の扉」より 著者:岸田国士
を読んでたところなの。さつきお話をきいたばかりでしよう。あたしのところへ長い長い
お便りよ。女同士だからいろんなこと書いてある、書いてある。おみせしてもいゝけど、....
「光は影を」より 著者:岸田国士
ような胸さわぎを覚えた。 署名は、たゞ、「小萩」としてあつた。 とつぜんこんな
お便り差しあげ、さぞ意外に思召すことゝ存じます。お別れしてまる七年、最後のお手紙....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
んで了ったら 私はいゝが父に気の毒 恩師から慰められて涙ぐみ そのまゝ拝む今日の
お便り 俳句 浮氷鴎が乗って流れけり 春めいて何やら嬉し山の里 大漁の旗そのま....
「旅への誘い」より 著者:織田作之助
らせず、手紙も差し上げず、怒っていらっしゃることと思いますが、そのお詫びかたがた
お便りしました。僕は今でも、あなたが苦学生の僕の洋服のほころびを縫って下すった御....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
重く濃くなる頃は、最も頭の不快な気分に閉ざされるものです。あなたのいつかの妹への
お便りにも、幽鬱ななやましい気分がもられて見えました。なにとぞからだを大切にして....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
人がある。 しをりせでなほ山深くわけ入らむ憂きこと聞かぬ所ありやと そんな悲しい
お便りは聞かずにすませるように、もっと山深くのがれよう。この人は女であったのかも....