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「お針〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

お針の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
私の父と母」より 著者:有島武郎
藩が朝敵にまわったため、母は十二、三から流離の苦を嘗《な》めて、結婚前には東京でお針の賃仕事をしていたということである。こうして若い時から世の辛酸を嘗めつくした....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
といいはしまいかと、大抵気を揉んだ事ではない。…… 婆さんは幾らも居る、本宅のお針も婆さんなら、自分に伯母が一人、それもお婆さん。第一近い処が、今内に居る、松....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
雪中を独歩するもの、俳気のある婦人か、さては越の国にありちゅう雪女なるべし、)傭お針か、産婆だろう、とある処へ。……聞いたら怒るだろう、……バッタリ女教師の渚女....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
今居りまする、ついこの先のお邸で、お米は小間使をして、それから手が利きますので、お針もしておりますのでございますよ。」 「誰の邸だね。」 「はい、沢井さんといっ....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
ないために、工場通いをなさいました。お邸育ちのお慰みから、縮緬細工もお上手だし、お針は利きます。すぐ第一等の女工さんでごく上等のものばかり、はんけちと云って、薄....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
の絵をもらったこともありました。 こうして私の絵好きは、親類知人の「女の子は、お針や茶の湯を習わせるものだ、女の子に絵など習わしてどないする」という非難もよそ....
わが母を語る」より 著者:上村松園
もやれ」と、励ましてくれました。しかし、はたはそうはいかず、親類知人は、「女子はお針や茶の湯を習わせるものだ。上村では、女子に絵なぞ習わせてどないする気や」と母....
自叙伝」より 著者:大杉栄
れど、そんなことはまだ何でもないわ。私がちょっとうちを留守にすると、その間に私のお針箱から何やかまで引掻き廻して何か探すんですもの。私もうそれが何よりもつらいわ....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
覚えたのも、その話からなのだ。 が、今罷工をやっているミディネットは、その中のお針女工だ。八千人ものこのお針女工がもう四週間も罷工をつづけて、大勢大通りをねっ....
古いはさみ」より 著者:小川未明
さみは、とぎ屋さんの手にかかったでしょう。 お姉さんは、女学校を卒業なさると、お針のけいこにいらっしゃいました。そのときには、このはさみは、もう、そんな役にた....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
らは、みんなこんな工合に、俺が繕ってやる」 「上手いもんだね」 「そうとも、お針だって料理だって、出来ないものはないよ。俺は、コルセットの紐鉤に新案さえもっ....
妖婦」より 著者:織田作之助
も二階に監禁して置いてはだいいち近所の体裁も悪い。それに学校や踊はやめてもせめてお針ぐらいは習わせなければと父親を口説き、お仙ちゃんなど半年も前から毎日お針に行....
まざあ・ぐうす」より 著者:北原白秋
ごきょうだい》は裏《うら》ん口《くち》の庭で パンをおくれェと乞《こ》うている。お針みつけたら お針みつけたらつまみあげておとりな。 その日いちんちいいことば....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
とを、大きくなって乳母から度々きかされたことがある。楽天的な性質らしく、それに、お針をしたり、台所で食事の用事をすることを好まないのか、ついぞそういう母の姿をみ....
白痴」より 著者:坂口安吾
小屋ではない。それでも押入と便所と戸棚がついていた。 主人夫婦は仕立屋で町内のお針の先生などもやり(それ故肺病の息子を別の小屋へ入れたのだ)町会の役員などもや....