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お釣
「お釣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
お釣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「天守物語」より 著者:泉鏡花
ないのでございますもの。(隣を視る)御覧なさいまし、女郎花さんは、もう、あんなに
お釣りなさいました。 薄 ああ、ほんにねえ。まったく草花が釣れるとなれば、さて、....
「古事記」より 著者:太安万侶
最後にようやく取り易えることを承諾しました。そこでホヲリの命が釣道具を持つて魚を
お釣りになるのに、遂に一つも得られません。その鉤《はり》までも海に失つてしまいま....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
物として、上戸は飲み、下戸は食す。 二人の人夫は望むがままに待たしておきて、な
お釣らしめ、進んで小箱という処に至る。さても造化は変化を極めたるもの哉。石狩川も....
「越年」より 著者:岡本かの子
毎日共に苦労した分までも撲って貰いたかった不満を交ぜて残念がった。 「でも、私、
お釣銭は取らないつもりよ。後くされが残るといけないから。あれで私気が晴々した。今....
「鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
しは何げなく訊きました。 「あんまり大きいのもいないようだね。」 「あなたも去年
お釣りになって……。」 「むむ。二、三度釣ったことがあるよ。」 ここで黙ってい....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
ついたようにうしろを見かえった。 「いや、どうもお妨げをしました。まあ、たくさん
お釣りなさい。」 市野は低い堤をあがって行った。水の上はまだ明るいが、芒の多い....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
――と、しきりにすすめるのだった。 「お銚子が一本ついて、タイムどしたら、百円で
お釣りが来るのどっさかい、安おっしゃろ。それに、女は満州から引揚げて来た素人の女....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
て、さて勘定はと見ると、二人で六十何銭というのでほっと胸を撫で下し、七十銭だして
お釣はいらぬなどと大きな顔をしたものだったが、今思い出しても夢のような気がする。....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
こで膝を崩し、手を懐中へ入れ、ノンビリとした姿勢となった。 「紙帳といえば、妾が
お釣りしたのでございますの」 栞は云いつづけた。 「妾、林を散歩して、ここまで....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
――おかみさんが声を出して云えないところを見ると、中に張り込んでいるらしいわ。
お釣りを寄こすとき、私を早く出ろ、早く出ろという風に押すのよ。―― 悪寒が彼の....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
が蚊に螫《く》われて憫然《かわいそう》でございますから、何卒《どうか》それだけは
お釣り遊ばして」
新「少し金が入用《いりよう》だからよ、これを持って行って金を....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
で六百出しゃ気儘か、宜しい…皆様先へ入らっしゃい…じゃア婆さん此金で」 婆「生憎
お釣がございません、お気の毒様で、何うかお端銭がございますなら」 馬「じゃア斯う....
「闇夜の梅」より 著者:三遊亭円朝
だ、さ、喰った代《でえ》を此処《こゝ》へ置くぜ」 爺「あなた、これは一分銀で、
お釣はござりませぬが」 男「なに釣は要らねえ、お前《めえ》にやっちまわア」 ....
「飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
お互いさまだ。干ぼしになって死ぬ時ア一緒に死ぬべえ、と言って、その五両札へ二両の
お釣りを置いて帰って来ただが、おかみさん、去年は豊年で、それでやっぱり飢饉と同じ....
「ヴィヨンの妻」より 著者:太宰治
て、うん、うん、とあいまいに首肯き、突然、何時ですか、と時間をたずねて立ち上り、
お釣を、と私が言いますと、いや、いい、と言い、それは困ります、と私が強く言いまし....