したり顔[語句情報] »
したり顔
「したり顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
したり顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竜」より 著者:芥川竜之介
。聞けばあの猿沢の池から三月三日には、竜が天上するとか申すではござらぬか。』と、
したり顔に答えました。これを聞いた恵門は疑わしそうに、じろりと恵印の顔を睨《ね》....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
《かしわで》を打って黙拝をしてから、居合わせてる者らには半分も解らないような事を
したり顔にいい聞かした。小作者らはけげんな顔をしながらも、場主の言葉が途切れると....
「星座」より 著者:有島武郎
渡瀬はたちまちすべてを忘れてしまった。数字の連なりが眼の前で躍りはじめた。渡瀬は
したり顔に一度首をかしげると、堅く腕を胸高に組合せて霜の花でもちらちら飛び交わし....
「チャンス」より 著者:太宰治
人生はチャンスだ。結婚もチャンスだ。恋愛もチャンスだ。と、
したり顔して教える苦労人が多いけれども、私は、そうでないと思う。私は別段、れいの....
「女の決闘」より 著者:太宰治
かり多く出て、はてしなく長々しい論文をしたため、なむ学問なくては、かなうまい、と
したり顔して落ちついている謂《い》わば、あの、研究科の生徒たち。そんな人たちは、....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
層の事この手紙をお眼に掛けましょう。それに第一私としても、いまここで、助役のその
したり顔な説明なんぞを、再び私の口からお話するのは、とてもつらいんです。と言うの....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
と泣いてお上げなさいましよ。それが何よりの親御さんへのお供養ですよ」 と、さも
したり顔に言った。 他のときと場合ならわたくしたちの所作は芝居|染みていて、随....
「斜陽」より 著者:太宰治
だいいほうですよ、健在なれ! と願う愛情は、これはいったい何でしょう。 友人、
したり顔にて、あれがあいつの悪い癖、惜しいものだ、と御述懐。愛されている事を、ご....
「愛と美について」より 著者:太宰治
、流石に着想が大人びている。 「あたし、もう、結末が、わかっちゃった。」次女は、
したり顔して、あとを引きとる。「それは、きっと、こうなのよ。博士が、そのマダムと....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
さらに厳重にやっていて、それで出発時刻がおくれるんだと、どこから聞きこんだのか、
したり顔に説明する者もあった。 午後十時が、十一時になり、十二時をまわった。 ....
「織田君の死」より 著者:太宰治
である。 世のおとなたちは、織田君の死に就いて、自重が足りなかったとか何とか、
したり顔の批判を与えるかも知れないが、そんな恥知らずの事はもう言うな! きのう....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
もらすものもあった。また中には、「先生は要するに指導者でなくて批評家だ」などと、
したり顔に言うものもあった。しかし日がたつにつれて、しだいにかれらの間に取りかわ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
界隈でちっとでも後暗いことのある者は、あれを知らぬは無いくらいだ。といえば八蔵は
したり顔にて、「我れも、あの創を目標にして這ッ面を覚えておりますのだ。「むむ、汝....
「赤い船のお客」より 著者:小川未明
ているように思われました。 二郎はふいに目を開いて、その人たちがどんなようすを
したり顔つきをしているか、自分が、たいてい想像したとおりであるかと、見定めようと....
「はつ恋」より 著者:神西清
台の辻馬車で越していらっしゃいました」と、うやうやしく皿を差出しながら、侍僕頭が
したり顔に、――「自家用の車はお持ちでありませんし、家具もごくお粗末で」 「そう....