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しっくり
「しっくり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
しっくりの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
それは私にもはっきりとは見極めをつける事が出来ません。ただ、頭の中の歯車がどこか
しっくり合わないような――しかもその
しっくり合わない向うには、私の自覚を超越した....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
屋根にも、柱にも、古い苔が厚く蒸して居り、それが塵一つなき、飽まで浄らかな環境と
しっくり融け合って居りますので、実に何ともいえぬ落付きがありました。私は覚えず叫....
「或る女」より 著者:有島武郎
葉子は、そこの交際社会でも風俗では米国人を笑わせない事ができる。歓楽でも哀傷でも
しっくりと実生活の中に織り込まれているような生活がそこにはあるに違いない。女のチ....
「或る女」より 著者:有島武郎
と当惑した。あつらえておいた衣類がまだできないのと、着具合がよくって、倉地からも
しっくり似合うとほめられるので、その朝も芸者のちょいちょい着《ぎ》らしい、黒繻子....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
芸術の捧誓者たらしめたいと熱望する、Kのさびしい、自己を滅した、温かい心の働きを
しっくりと感じていたからだ。 君ら二人の目は悒鬱な熱に輝きながら、互いに瞳を合....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
、大運搬船を引く小蒸汽の刻をきざむ様な響とが、私の胸の落ちつかないせわしい心地と
しっくり調子を合わせた。 私は立った儘大運搬船の上を見廻して見た。 寂然して....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
を緩く着て、焦茶色の中折帽、真新しいはさて可いが、馴れない天窓に山を立てて、鍔を
しっくりと耳へ被さるばかり深く嵌めた、あまつさえ、風に取られまいための留紐を、ぶ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
けるように言った。 羽織に、ショオルを前結び。またそれが、人形に着せたように、
しっくりと姿に合って、真向きに直った顔を見よ。 「いいえ、私はお稲です。」 紳....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、中はつぎのないくりぬきを、表の金質に好配して、黄金また銀の薄金を覆輪に取って、
しっくりと張るのだが、朱肉入、驕った印章入、宝玉の手奩にも、また巻煙草入にも、使....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
警部長なにがし氏の令息で、島野とは心合の朋友である。 箱を差したように両人気は
しっくり合ってるけれども、その為人は大いに違って、島野は、すべて、コスメチック、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
て、ふらふら眠りながら来たものと見えます。 お話のその土手へ上ろうという坂だ。
しっくり支えたから、はじめて気がついてね、見ると驚いたろうじゃあないか。いつの間....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
へ戻った。 時に、大形の浴衣の諸膚脱ぎで、投出した、白い手の貴婦人の二の腕へ、
しっくり喰ついた若いもの、かねて聞いた、――これはその人の下宿へ出入りの八百屋だ....
「朝顔日記の深雪と淀君」より 著者:上村松園
が非芸術的に見えるのでしょう。それは、女自身がそれぞれ自分の性質なり姿顔形なりに
しっくりふさわしいものがどれだというしっかりした考えがなくて、ただ猫の目のように....
「女の話・花の話」より 著者:上村松園
ちは、その境涯を経て来ておられるのではありませんから、それを描こうにも、なんだか
しっくりしないところがあって、出そうにも出にくいだろうと思います。そこにまいりま....
「画道と女性」より 著者:上村松園
あたりの出品を見ると皆、ああでもないこうでもない、という風にばかり感じて、どうも
しっくりこれだという気になれる作品に出会わないような気がする。何故現代風俗そのま....