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たった今
「たった今〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
たった今の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
ない。しかし保吉の心の中には道化《どうけ》の服を着たラスコルニコフが一人、七八年
たった今日《こんにち》もぬかるみの往来へ跪《ひざまず》いたまま、平《ひら》に諸君....
「或る女」より 著者:有島武郎
れほど多くの人にじろじろと見られようとも度を失うような葉子ではなかったけれども、
たった今いまいましい新聞の記事を見た葉子ではあり、いかにも西洋じみた野暮《やぼ》....
「星座」より 著者:有島武郎
るように書物の方に眼を移した。おたけはぎごちなさそうに人見から少し座をしざった。
たった今までの愉快さは西山から逃げていった。西山自身があまりな心のはずみ方に少し....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
なねえ。」 「あら! 見ちゃ可厭よ、酷いわ、小母さんは。」 と背中を推着いて、
たった今まで味方に頼んだのを、もう目の敵にして、小突く。 お蔦は病気で気も弱っ....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
か躊躇はいたしますが、既に、私の、かく参ったを、認めております。こう云う中にも、
たった今。 夫人 ああ、それもそう、何より前に、貴方をおかくまい申しておこう。(....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
しそうな構えでない。鰌が居たら押えたそうに見える。丸太ぐるみ、どか落しで遁げた、
たった今。……いや、遁げたの候の。……あか褌にも恥じよかし。 「大かい魚ア石地蔵....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
が、頑として退かず、悠々と歌を唄うに、我折れ果てた。 よって最後の試み、として
たった今、少年に人を殺させた――すなわち殺された者は、客僧、御身じゃよ。」 と....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
て筋だらけ。その癖、すぺりと髯のない、まだ三十くらい、若いんです。 (はいはい、
たった今、直きに、)とひょこひょこと敷居に擦附ける、若衆は叩頭をしいしい、(御寮....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
に御勘弁下さいまして。」 「いいえ。」 「もし、あなた様、希有でござります。確か
たった今、私が、こちらへお客人をお取次申しましてござりましてござりまするな。」 ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
て、 「島野さんも来ていたの。」 「ええ、僕は大分久しい前からなんです。義作君は
たった今、その馬が放れました一件で。」 「実は何でございます、飛んだ疎匆をいたし....
「山吹」より 著者:泉鏡花
老耄が生れまして、六十九年、この願望を起しましてから、四十一年目の今月今日。――
たった今、その美しい奥方様が、通りがかりの乞食を呼んで、願掛は一つ、一ヶ条何なり....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
れて赤い舌で嘗められていなさるようで、私あ身体へ火がつくようだ。そうか、といって
たった今お暇乞をしたもの、と地蹈※を踏みましたが、とうとう、我慢が仕切れねえで、....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
せぬ仕誼、一刻も猶予ならぬ立退けでござりましょう。その儀ならば後とは申しませぬ、
たった今川ン中へ引越しますと謂うたらば。 差配さん苦笑をして、狸爺め、濁酒に喰....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
ました。使者の職人は、悚とするなり、ぐったりと手を支きましたとさ。言われる通り、
たった今、富さんが、鶏の瞳を入れようとして、入れようとして幾たびか、鉄鎚を持った....
「活人形」より 著者:泉鏡花
あるものか。可し我もたってお藤を呉れとは言わぬ。そん代に貸した金千円、元利揃えて
たった今貰おうかい。と証文|眼前に附着くれば、強情我慢の得三も何と返さん言葉も無....