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とろ火
「とろ火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
とろ火の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
甲万《きっこうまん》の濃口《こいくち》醤油をふんだんに使って、松炭《まつずみ》の
とろ火でとろとろ二昼夜煮つめると、戎橋《えびすばし》の「おぐらや」で売っている山....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
が同時にわく。湯は明いてますからとお袋がいうままに省作は風呂場へゆく。風呂はとろ
とろ火ながら、ちいちいと音がしてる。蓆蓋を除けて見ると垢臭い。随分多勢はいったと....
「黴」より 著者:徳田秋声
先生と交渉のなかったその記者は、周りにいろいろの陶器を集めて楽しんでいた。そして
とろ火で湯を沸かしてある支那製の古い土瓶について説明して聞かした。 薄汚い焼物....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
ない、漆黒の空である、人の心も泣き出しそうになる、しかし暁天までには、焚火のとろ
とろ火に伴れて、穴へでも落ちたようにグッスリと寝込んでしまった、眼が覚めると鳥の....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
べて、持って居るあらゆる物は此上なく不思議な魅力有るものであった。 そして丁度
とろ火にかけたお粥の様な愛着をお久美さんに持って居たのである。 重三からすっか....
「老狸伝」より 著者:佐藤垢石
まことに、久し振りで狸汁の珍味に酔うたのである。 月の輪熊の方は、その翌日
とろ火にかけて、小半日ばかり湯煮して、やわらかに煮あげ、それを里芋、牛蒡、焼豆腐....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
ある。グツグツ煮えはじめた頃合いを見はからって土鍋の真ん中へ梅干を落して、あとは
とろ火で気長に煮あげる。粥は梅干の酸味を吸い出し梅干は程よい味にふっくらと肉づい....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
いの夜の夢を思い出しました。 どこかの松山を父と二人通ってゆくと、向こうにとろ
とろ火が燃えている。 「あれは何でしょう?」父に問うた。 「あれは聖霊の力でなけ....
「海苔の茶漬け」より 著者:北大路魯山人
方がない。 自分で拵えるのは、生のりの採れる時分に、生のりを生醤油でごとごと、
とろ火で煮つめることだ。生のりの手に入らぬ土地の人は、もらいものの干しのりなどを....