と胸[語句情報] »
と胸
「と胸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
と胸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、それを左大弁様の許へ御とどけになりました。
こちらは京極の左大弁様で、何事か
と胸を轟かせながら、慌《あわて》て御文を開けて見ますと、思いもよらず御姫様は、い....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
に何か云う時の、微笑した夫の顔を、ありあり眼の前に思い出した。私のもくろみが、ふ
と胸に浮んだのも、恐らくその顔を思い出した刹那《せつな》の事であったろう。何故と....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
、いつか薄闇《うすやみ》が立ちこめている。誰か、――その誰かは見えない手に、そっ
と胸の小刀《さすが》を抜いた。同時におれの口の中には、もう一度血潮が溢《あふ》れ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
かと思うほど、艶々と櫛目《くしめ》を見せています。それが濡手拭と石鹸の箱とをそっ
と胸へ抱くようにして、何が怖いのか、往来の右左へ心配そうな眼をくばりましたが、す....
「或る女」より 著者:有島武郎
るのが聞こえ出した。葉子はきょう一日に目まぐるしいほどあるたくさんの用事をちょっ
と胸の中で数えて見て、大急ぎでそこらを片づけて、錠をおろすものには錠をおろし切っ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ら、葉子はどんな秘密な運動をしても、この上の記事の発表はもみ消さなければならない
と胸を定めたに相違なかったけれども、田川夫人が悪意をこめてさせている仕事だとして....
「星座」より 著者:有島武郎
った。そうした仕打ちの後ろには何んにもないといいきることができるか。……園はぐっ
と胸に手を重くあてがわれたように思った。
またのついでの時に知らせようか。……....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
を走らせた時には、なんとも言えない幸福な感謝の心が、おさえてもおさえてもむらむら
と胸の先にこみ上げて来た。 着く所に着いてから思い存分の手当をするからしばらく....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
遠くで鳴るのを聞いた。間違なくセミオン会社所有の小蒸汽の汽笛だ。「来たな」と思う
と胸は穏かでない。船階子の上り口には労働者が十四五人群がって船の着くのを見守って....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
きが悪いで、今夜は一つ枕許の行燈で読んでみましょう。」 「止しなさい、これを読む
と胸が切って、なお目が冴えて寝られなくなります。」 「何を言わっしゃる、当事もな....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
える肩を、先生が抱いて退けようとするなり、くるりとうしろ向きになって、前髪をひし
と胸に当てました。 呼吸を鎮めて、抱いた腕を、ぐいと背中へ捲きましたが、 (お....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
―― よって釈然とした。紋の丸は、色も青麦である。小鳥は、雲雀である。 幅広
と胸に掛けた青白の糸は、すなわち、青天と白雲を心に帯した、意気|衝天の表現なので....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
第一名が好いではないか、あいの山。」 客は何思いけん手を頬にあてて、片手で弱々
と胸を抱いたが、 「お婆さん、昔から聞馴染の、お杉お玉というのは今でもあるのか。....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
にやって来ました。しかして頭を下げたなりであとしざりをします。 「私こわいママ」
と胸をどきつかせながらむすめが申します。 「めぐみ深い在天の神様、私どもをお助け....
「活人形」より 著者:泉鏡花
重々容易ならぬことだ。銀平しっかりやってくんな。と高田も言を添えにける。銀平とん
と胸を叩きて、「御配慮なされますな。と気軽に飛出し、表門の前を足早に行懸れば、前....