どら声[語句情報] » どら声

「どら声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

どら声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
緑の芽」より 著者:佐左木俊郎
うに、どうしても我慢がならねえ……と言うように、菊枝の眠っている部屋の方へ、太いどら声で呼びかけた。 「菊枝! 菊枝! もう、午《ひる》になってはあ! もう、て....
渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
いる。 彼は、嫉妬《しっと》と憤怒が胸に爆発した。大隊を指揮する、取っておきのどら声で怒なりつけようとした。その声は、のどの最上部にまで、ぐうぐう押し上げて来....
杉子」より 著者:宮本百合子
で、大豆を奪い合う「豚」という遊びの時なんか「おい、駄目だ駄目だ、ひどいよ」と、どら声をあげて、雪枝の夫にくみついたりした。 伊田のグループに杉子が加ったのは....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
「アン。なにもかもお話し。一体……」 「しっ」 そのとき、仏天青のうしろから、どら声を張りあげたものがあった。 「こら、女。逃げると承知しないぞ」 仏は、む....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
う、真赤な大な臀を、むくむくと振って、肩で踊って、 「わあい。」 と馬鹿調子のどら声を放す。 ひょろ長い美少年が、 「おうい。」 と途轍もない奇声を揚げた....
旅へ出て」より 著者:宮本百合子
て話すべき時にのみ話した。 四十五六で、白衣の衿の黒いのを着て奥歯に金をつめてどら声でよくしゃべる一人をA氏とよんで居た。 ふざける様にしゃべって下司な笑い....
大きい足袋」より 著者:宮本百合子
番年かさらしい一人が新聞のつづき物を節をつけて読んできかせて居たが「今晩」と云うどら声がいきなりひびいたので読のをやめて一度にふりかえったがじいやがあんまり変な....
丹下左膳」より 著者:林不忘
にぶつかったかと思うと、頭の上に多人数の跫音《あしおと》が乱れ立って、丹下左膳のどら声が河面《かわも》を刷《は》いた。 「おいッ! 乾雲が夜泣きをしてしようがね....
病院風景」より 著者:寺田寅彦
た。「味つき」と「味なし」と二通りあった。「オイ、味なし」。「味つき」。そういうどら声があちらこちらに聞こえた。今は雑使婦か何かの宿舎になっているらしい。そのボ....
天狗の鼻」より 著者:豊島与志雄
緒に一杯やりたいと思って、酒まで買っておきましたよ」 「本当か?」とだしぬけに、どら声が闇の中から響きました。 「本当ですとも、本当ですとも」と爺さんは大喜びを....
次郎物語」より 著者:下村湖人
枝をなぐりつけたりしながら、歩いていた。先生は、それに気がつくと、だしぬけに例のどら声をはりあげて怒鳴った。 「おうい、默って立っている木をなぐるのは卑怯だぞう....
次郎物語」より 著者:下村湖人
っていることだけは、間違いないよ。」 彼は、のんきそうにそう言ってから、すぐ、どら声で校歌をうたい出した。すると山彦が方々からきこえ、急に賑やかになったようで....
次郎物語」より 著者:下村湖人
ら下の廊下にかけて、生徒たちは、いつの間にかどっどっと歩調をそろえて歩きながら、どら声をはりあげて校歌をうたい出していた。 七 父兄会 生徒たちが、学....
決闘」より 著者:神西清
特の太い嗄れ声――こう並べて見ると、このサモイレンコがこの町に来たての人の眼に、どら声の成上り士官といった不快な印象を与えるのは無理もない。だが二三日も附き合っ....
昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
。 さあ、二十四糎砲が敵の影をねらった。 「打方《うちかた》始め!」 少佐のどら声が夕空にひびきわたる。 赤い火を吹いて、大砲弾はとび出した。遊撃隊最後の....