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「どん底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

どん底の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
束をその場で破ってしまいたかった。そうして、あの不貞な女を、辱しめと云う辱しめのどん底まで、つき落してしまいたかった。そうすれば己の良心は、たとえあの女を弄《も....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
た彼の顔が、明白に語っている事実であった。素戔嗚は彼の顔を見ると、腹立たしい心のどん底から、急に可笑《おか》しさがこみ上げて来た。 「どうした? 怪我《けが》は....
或る女」より 著者:有島武郎
手を他の女に任せるのがねたましくてたまらなくなった。幾枚も皮をかぶった古藤の心のどん底に隠れている欲念を葉子の蠱惑力《チャーム》で掘り起こして見たくってたまらな....
或る女」より 著者:有島武郎
かながらどんどん人の心の中にはいり込もうとするような目つきにあうと、いつか秘密のどん底を誤たずつかまれそうな気がしてならなかった。そうなるにしてもしかしそれまで....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
れ》を思うとお繁さんの居ない今日、岡村に薄遇されたのに少しも無理はない。予も腹のどん底を白状すると、お繁さんから今年一月の年賀状の次手《ついで》に、今年の夏も是....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
こう言った。私の前にすわった君の姿は私にそれを信ぜしめる。 パンのために生活のどん底まで沈み切った十年の月日――それは短いものではない。たいていの人はおそらく....
クララの出家」より 著者:有島武郎
の愛、貧窮の祝福などを語って彼がアーメンといって口をつぐんだ時には、人々の愛心がどん底からゆすりあげられて思わず互に固い握手をしてすすり泣いていた。クララは人々....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
紘一宇の大理想達成に対する国民不動の信仰が、いかなる困難をも必ず克服する。苦境のどん底に落ちこんでも泰然、敢然と邁進する原動力は、この信仰により常に光明と安心と....
恐竜島」より 著者:海野十三
もの見たさとは、この場の伯爵のことであろう。 四人の探検者の心を、かくも恐怖のどん底においこんでしまったすごい光景とは、いったいどんなものであったか。 それ....
出奔」より 著者:伊藤野枝
ラして、もう、どうなってもいい、なるようにしかならないのだ、いっそ堕ちられるだけどん底まで堕ちていって、この目覚めかかった自我を激しい眩惑になげ込んで生きられる....
余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
んな物質的欠乏よりも惨めだ。心の余裕は物質の窮迫を克服する力を持つている。逆境のどん底に楽天地を発見する力を持つている。砲弾の炸裂する中で空の美しさにうつとりと....
私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
の海軍書記生をやつており、かたわらしろうと芝居に熱中していた。 ゴーリキーの「どん底」を演してナターシャの役か何かをやつたことなどを報告してきて、しきりに演劇....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
やがった。……みんないいか大丈夫か……俺たちは非常な不幸に遇ったんだぞ。悲しみのどん底にいるんだぞ。この際笑いでもした奴は敵に内通した謀叛人としてみんなで制裁す....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
えば可い。十年人の棲まない妖怪邸の天井裏にも、ちょっとあるまいと思う陰惨とした、どん底に――何と、一体白身の女神、別嬪の姉さんが、舞台の礫の時より、研いだように....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
回すと、ふとん代わりのドンゴロスの袋、食器に使うゆがんだバケツ……。旅路の果てのどん底の生活であった。 私には、人間がどんなことでもできる、いかなる悲惨、困窮....