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べた一面
「べた一面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
べた一面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ころを一通り読み返すのが、彼の昔からの習慣である。そこで彼は今日も、細い行の間へ
べた一面に朱を入れた、何枚かの原稿を、気をつけてゆっくり読み返した。
すると、....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
ことです。もっともそのまた「朝日」の空き箱には空気を通わせるつもりだったと見え、
べた一面に錐《きり》の穴をあけてあったと云うのですから、やはり半之丞らしいのには....
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
しかし顔が大分はれていますよと注意した。なるほど何だか少々重たい気がする。その上
べた一面|痒《かゆ》い。蚊がよっぽと刺《さ》したに相違ない。おれは顔中ぼりぼり掻....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
「あの、ずっと向うの紫色の岸の方にもある」 「うん、ある、ある。退屈だらけだ。
べた一面だ」 「まるで夢のようだ」 「何が」 「何がって、眼前の景色がさ」 「う....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
ず》を積むに従って遠慮してくるそうである。その証拠には新来《きたて》のお客には、
べた一面にたかって、夜通し苛《いじ》めるが、少し辛抱していると、向うから、愛想《....
「草枕」より 著者:夏目漱石
が生《は》えているか知らんが、ありとある毛がことごとく根こぎにされて、残る地面が
べた一面に蚯蚓腫《めめずばれ》にふくれ上った上、余勢が地磐《じばん》を通して、骨....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
ポトリポトリとその上にたらした。果然、見る見る裡に蟻の匍っているような小文字が、
べた一面に浮び出た。 本部からの指令だった! 3 二人は、マッチ箱....
「赤外線男」より 著者:海野十三
い紙の上に、水珠を寄せたように、茶椀ほどの大きさの、青だの、赤だの、黄だの円が、
べた一面に描いてあって、その上に5とか3とかいう点数が記してあった。 「僕やって....
「マクシム・ゴーリキイの伝記」より 著者:宮本百合子
いることが、活々した子供のゴーリキイにはなかなか出来ない。しかも両腕は肱の辺まで
べた一面痣やかさぶたで、掻くなと云われても、掻かずにはいられないのであった。主人....
「流線間諜」より 著者:海野十三
しい極彩色の密画で、画面には百花というか千花というか凡そありとあらゆる美しい花が
べた一面に描き散らしてあった。 万花画譜! 密偵の巣窟に、この似つかわしからぬ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
「が、泰軒、黒には黒で仲間が多いぞ」
と、ガチャガチャとつかみ出した黒の石を、
べた一面に並べて、もとの黒石をぐるりとかこんでしまった。
「おどろかん。ちっとも....
「接吻」より 著者:神西清
前車には燕麦の袋が積込まれて、それに防水布の覆いがかけてあるし、砲身はというと、
べた一面に茶沸かしだの、兵隊の背嚢だの小嚢だのが吊り下げられて、その有様たるやさ....
「予言」より 著者:久生十蘭
ホックがはずれて白い肩がむきだしになり、首から胸のあたりまで薄赤いみょうな斑点が
べた一面についている。安部は礼をいってフェルナンデスにひきとってもらったが、いく....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
は、おかみのお仕置きなんかまるで子供だましみたいなものだったのです。お屋敷の床下
べた一面に秘密の穴倉が掘ってあって、そこには人間がまるで熊みたいに鎖につながれて....
「はつ恋」より 著者:神西清
んざんそばをぶらついて、今ではもう飽き飽きしてしまった馬鹿げた灰色の丸太の山に、
べた一面ちっぽけな黒ずんだ点々をつけた。わたしは心細くなってきたが、父はやっぱり....