コバルト色[語句情報] »
コバルト色
「コバルト色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
コバルト色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おしゃれ童子」より 著者:太宰治
その外套を止しました。さらに一枚、造りました。こんどは、黒のラシャ地を敬遠して、
コバルト色のセル地を選び、それでもって再び海軍士官の外套を試みました。乾坤一擲《....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
ていた。澄ましてるよと、言われてから、一層仲間入りをしなくなっていた。 黙々と
コバルト色の無地のワンピースを着て、衿のボタン代りに丸紐をボウ(蝶結び)に結んで....
「張紅倫」より 著者:新美南吉
たらいいかな」 と、心の中でつぶやきました。 まもなく、朝やけで赤かった空は、
コバルト色になり、やがて、こい水色にかわっていきました。少佐は、だれかさがし出し....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
《うか》んできます。眼前に展《ひろ》がる蒼茫《そうぼう》たる平原、かすれたような
コバルト色の空、懸垂直下《けんすいちょっか》、何百米かの切りたった崖《がけ》の真....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
氷藍色を加え、透明の微小結晶を作って、空気の海に、澄徹に沈んでいる、群山の中で、
コバルト色の山が、空と一つに融ければとて、雪の一角は、判然《はっきり》と浮び上る....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ねて来たのであった。部屋には大きい瓦斯ストーヴがもはやとうに火の働きを閉されて、
コバルト色の刺繍をした小布を冠されていた。かの女が倫敦から買って帰ったベルベット....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
人々はだれも知らん顔をしていた。かえってきまりが悪かった。 午後には海が純粋な
コバルト色になった。 四月十一日 きょうは復活祭だという。朝飯の食卓には朱と緑....
「杉垣」より 著者:宮本百合子
肉の厚みと濃い血色とを加えた。それが彼の胸の前に下っているあらい斜縞のネクタイの
コバルト色との対照で、最初の一瞥から慎一の心に彼らしさの親しみと一緒に漠然哀感に....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
っている、どこにも地平線のない空は、森の梢にも、山の輪廓にも、天の一部を見せて、
コバルト色に冴えわたり、若い女の呼吸のような柔かい霧が、兎の毛のように、ふうわり....
「自画像」より 著者:寺田寅彦
。寝ころんで本を読んでいると白いページの上に投じた指の影が、恐ろしく美しい純粋な
コバルト色をして、そのかたわらに黄色い補色の隈を取っているのを見て驚いてしまって....
「子供・子供・子供のモスクワ」より 著者:宮本百合子
信なんぞ持ってる奴は一人もいないよ。 笑い声の中に立ち上って、がっちりした体に
コバルト色シャツのアーシャが、抑揚は本もののプロレタリアート詩人らしい弾力で、原....
「心持について」より 著者:宮本百合子
kday の午後一時すぎ むこうから特長のある石川湧の鳥打帽 タバコをふかしつつ
コバルト色のコート 傘の若い女と並んで歩いて来る、女私の前を通すぎるとき 傘を傾....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
という嗄れた呼び声が馬場の物語の邪魔をした。ぎょっとして振りむくと、馬場の右脇に
コバルト色の学生服を着た背のきわめてひくい若い男がひっそり立っていた。 「おそい....
「競馬」より 著者:犬田卯
を知らせる煙火がぽんぽんと世間の不景気なんか大空の彼方へ吹っ飛ばしてしまいそうに
コバルト色の朝空にはじけた。 仙太は、でも神妙に山裾の開墾地へ行って午前中だけ....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
を前景に、三、四時間ばかり一生懸命に写生をした。 日は南へ廻って、雪の蔭は淡く
コバルト色になる。前岳は濃いオルトラマリンに変る。近くには半ば葉の堕ちた巨木の枝....