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「ステッキ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

ステッキの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
か、垣越しに見える井戸端にせっせとポンプを動かしていた。僕は秦皮樹《とねりこ》のステッキを挙げ、O君にちょっと合図をした。 「そっちから上って下さい。――やあ、....
出帆」より 著者:芥川竜之介
えば)と言って非難されたことを思い出した。そうして微笑した。僕の前では君の弟が、ステッキの先へハンケチを結びつけて、それを勢いよくふりながら「兄さん万歳」をくり....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
われて煙臭い塵臭い中に床しいホワイトローズの香気を漾わしていた。銀の把柄の附いたステッキが薪のように一束となって其傍に投り出されていた。 一方の片隅には肩掛や....
暗号音盤事件」より 著者:海野十三
あったが、正午ごろになって、ふらりと私の部屋にとびこんできて、オーバーもぬがず、ステッキをふりながら、常になく、はあはあと息せき切っていうことには、 「おい、日....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
暖い。 修善寺の温泉宿、新井から、――着て出た羽織は脱ぎたいくらい。が脱ぐと、ステッキの片手の荷になる。つれの家内が持って遣ろうというのだけれど、二十か、三十....
転機」より 著者:伊藤野枝
堤防は人気のない沼の中をうねり曲って、どこまでも続いている。 山岡は乾いた道にステッキを強くつきあてては高い音をさせながら、十四五年も前にこの土地の問題につい....
銀座は昔からハイカラな所」より 著者:淡島寒月
て、また新古とも売っておりました。例えばランプもあれば食器類もあり、帽子もあればステッキのようなものもあるといった具合で、今日のように専門的に売っているのではな....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
れから胸にさわってまだなくさずに持っているかどうかみました。こうもりがさと帽子とステッキは、あたまの上の網のなかでゆれてぶら下がっていて、せっかくのすばらしいそ....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
もあったかた、思わず知らず出てしまった。 ところがこの禿の奴、一本のニス塗りのステッキを持っていて――それこそ阿Qに言わせると葬式の泣き杖だ――大跨に歩いて来....
頭髪の故事」より 著者:井上紅梅
彼等の悪罵はいっそう激しくなった。 いよいよせっぱ詰った時、わたしは手に一本のステッキを持って出掛け、そういう奴等を片端から叩きのめした。で、彼等はようやく罵....
近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
である。君はその時神経衰弱とか号して甚意気が昂らなかった。が、殆丸太のような桜のステッキをついていた所を見ると、いくら神経衰弱でも、犬位は撲殺する余勇があったの....
橋の上」より 著者:犬田卯
ていた。彼は振り切ろうとしたが、それが不可能だったのだ。さぶちゃんは握り太の茨のステッキを持っていた。彼の一味の子分達が、またそれぞれの獲物をもって、圭太を取り....
J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
中に隠しておくことも出来るし、更には花瓶とか書籍の間とか、シャンデリアの上とか、ステッキの中とかにも隠しておくことが出来る。サソリの形に彫られた琥珀のパイプを口....
山吹」より 著者:泉鏡花
おもての色やや沈み、温和にして、しかも威容あり。旅館の貸下駄にて、雨に懸念せず、ステッキを静につき、一度桜を見る。) 人形使 (この時また土間の卓子にむかってう....
透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
もう一つの弱いところは、凶器を持ってあるけないことです。鉄棒とかナイフとか、太いステッキのような物は、手ごろの武器……つまり凶器になりますが、あの男がこれらの物....