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トタン板
「トタン板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
トタン板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いのちの初夜」より 著者:北条民雄
。年は四十を越えているらしい。寝台の下には義足が二本転がっていた。義足と言っても
トタン板の筒っぽで、先が細まり端に小さな足型がくっついているだけで、玩具のような....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
同様にアケスケな処が殖えて来て、飾も何もないボール箱式が多く、かなりの大きな家を
トタン板で貼《はり》固めた、ペスト予防よろしくといったようなのも珍らしくない。 ....
「蠅男」より 著者:海野十三
外部から蠅男の侵入してくるのを防ぐために、四つの硝子窓を内側から厳重に羽根蒲団と
トタン板とでサンドウィッチのように重ねたもので蓋をし、釘づけにした。それでもまだ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
を一層恐怖させたとの話。大下邸のすぐそばの焼けた大ケヤキの高い梢の上に、バケツや
トタン板がちょこんとのっているのも、それを物語る跡である。 また池袋の武蔵野線....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
かには馬が丸々としたお臀だけを高々とあげて死んでいた。そうかと思うと、町角に焼け
トタン板が重ねてあって、その裾から惨死者と見え、火ぶくれになった太い脚がニョッキ....
「大震火災記」より 著者:鈴木三重吉
たした中を、方々の救護班や、たき出しをのせた貨物自動車がかけちがうし、焼けあとの
トタン板をがらがらひきずっていく音がするなぞ、その混雑と言ったらありません。 ....
「震災日記より」より 著者:寺田寅彦
たが駿河台は全部焦土であった。明治大学前に黒焦の死体がころがっていて一枚の焼けた
トタン板が被せてあった。神保町から一ツ橋まで来て見ると気象台も大部分は焼けたらし....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
の何間もあるトタン塀が倒れたり散々の由。板塀も竹垣も一間十円ばかり(五倍以上)。
トタン板を門の屋根にふくのにも許可が入用。荒れ後の始末も一通りのことにはゆきませ....
「香奠」より 著者:豊島与志雄
っちのけにして、私に対して向っ腹を立てたらしいんです。そして今日、何処からか広い
トタン板を買って来て、自分で軒の庇のつぎ足しを初めてるじゃありませんか。私の窓か....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
こしらえていた。その切阿は陰気なありさまをしていて、ただ一つの窓、なおよく言えば
トタン板を被《き》せた二枚の雨戸きりついていないで、それも常にしめられていた。
....
「白藤」より 著者:豊島与志雄
焼け枯れた木立は、ごく短い切株を残して、すっかり伐り採られていました。瓦礫や
トタン板が散らばっていました。大小さまざまな石が、何に使われていたものとも分らず....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
。すなわちそれは強風で家の棟が取られないために屋脊を保護してあるのである。今なら
トタン板を利用するところだが、昔日本には無論そんな気の利いた材料がなかったので、....
「伊豆の国にて」より 著者:平林初之輔
□ 今日は天気がよい。屋根瓦の上に堅い砂がちらばっていて、その上を
トタン板を引きずる音がする。こんな音をきいたらビスマルクでも神経衰弱になるだろう....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
、茅をまといて壁に代用せるあり。わがアイヌの家屋に似たり。屋根は草ぶき多く、中に
トタン板を用うるもあり。四壁に窓なく、ただ入り口と裏口とに板戸あるのみ。しかして....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
り口は東に面していたから、それをあけて頭をいちじるしく下げてのぞくと、北と南とは
トタン板、正面には石がきをそのまま見ることになる。石がきの穴には戦災証明書や、え....