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「バルコン〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

バルコンの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
、自分は、あの僧院の鐘の音と、鵠《くぐい》の声とに暮れて行くイタリアの水の都――バルコンにさく薔薇《ばら》も百合《ゆり》も、水底《みなそこ》に沈んだような月の光....
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
持っているかを語っている。そして最後に建築物に関しても、松江はその窓と壁と露台《バルコン》とをより美しくながめしむべき大いなる天恵――ヴェネティアをしてヴェネテ....
クララの出家」より 著者:有島武郎
らう事なくクララは部屋を出て、父母の寝室の前の板床に熱い接吻を残すと、戸を開けてバルコンに出た。手欄から下をすかして見ると、暗の中に二人の人影が見えた。「アーメ....
判決」より 著者:カフカフランツ
話をしました。たとえば、キエフへ商用旅行でいったとき、騒動のさなかに一人の神父がバルコンに立っているのを見たということ。その神父は、てのひらを切って大きな血の十....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ではないかしら、と思ったりした。 白樺の繁みをぬけて、三人が母屋に近づいた時、バルコンの上で、お茶を飲んでいる準之助夫妻を、小太郎が、いちはやく見つけて、 「....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
子のことを、夜はまた満天の星座と浪の音と虫の声々とに闌けてゆく壊れかかった二階のバルコンと寝室とを私はまた心にふり返った。 健在であれ。 心は安く、気はかろし....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ができるね。そして、村のアンコたちと外輪山で噴火でも見物しておれば、否、ホテルのバルコンでボンヤリ見ていてもいいが、メリメがヴィナスの石像に殺される男の幻想を得....
桜の園」より 著者:神西清
いくと、二十年もしたら、別荘人種はどえらい数になるでしょう。今でこそあの連中は、バルコンでお茶を飲むのがせいぜいですが、あに図らんややがては、あの連中もめいめい....
映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
ちょっとそう思ったことである。 この映画でもっとも美しいと思ったのはアパートのバルコンのような所へおおぜいの女が出て来て体操をする光景である。これは全く理屈な....
映画時代」より 著者:寺田寅彦
、飲んだくれの亭主《ていしゅ》が夜おそく帰って来て戸をたたくと女房のクサンチペがバルコンから壺《つぼ》の中の怪しい液体をぶっかけ、結局つかみ合いになるという活劇....
音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」」より 著者:寺田寅彦
リフレーンで「イズンティット・ロマーン」まで歌った最後の「ティック」の代わりに、バルコンの下から忍びよるド・サヴィニャク伯爵の梯子が石欄に触れる「ティック」の音....
日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
物をかけるのもまたそのバリアチオンと考えられなくもない。西洋でも花瓶に花卉を盛りバルコンにゼラニウムを並べ食堂に常緑樹を置くが、しかし、それは主として色のマッス....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
間は彼を「起重機のジャン」と綽名《あだな》していた。かつてツーロンの市庁の露台《バルコン》が修繕さるる時、その露台をささえているピュゼーの有名な人像柱の一つがゆ....
十九の秋」より 著者:永井荷風
しに裏手の一室を与えて滞留中の居間にさせられた。この室にはベランダはなかったが、バルコンのついた仏蘭西風の窓に凭《もたれ》ると、芝生の向《むこう》に事務所になっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
三十七 駒井甚三郎は、今晩、遠見の番所の附近へ新たに立てたバルコン式の台上にのぼって、天体を観察している。 駒井が、天体を観察するの余裕....