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パナマ帽
「パナマ帽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
パナマ帽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ボオル箱を並べた、手広い店になっている。――その店先の雨明《あまあか》りの中に、
パナマ帽をかぶった賢造は、こちらへ後《うしろ》を向けたまま、もう入口に直した足駄....
「世相」より 著者:織田作之助
いているから、いつまでたっても若さがないと言われるんだね」そう言い乍ら突き上げた
パナマ帽子のように、簡単に私の痛い所を突いて来た。 「いや、若さがないのが僕の逆....
「河明り」より 著者:岡本かの子
した若い逞ましい男が、娘の瞳の対象になっている。白いノーネクタイのシャツを着て、
パナマ帽を冠ったその男も気がついたらしく、そのがっしりした顔にやや苦み走った微笑....
「藤棚の陰から」より 著者:寺田寅彦
が勝手に進行の方向を変えるための舵のようなものらしい。 座席に腰かけている人は
パナマ帽に羽織袴の中年紳士で、ペダルを踏んでいるのは十八九歳ぐらいの女中さんであ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
は」の一点張りで、その来る者の、自動車であろうと、金鎖《きんぐさり》であろうと、
パナマ帽であろうと更に驚かないのですから、ここにおいて「島原|未《いま》だ侮り易....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
燻し燻しておくと、蚊が大分楽になるよ。 時に蚊遣の煙なびく、 学円。日に焼けたる
パナマ帽子、背広の服、落着のある人体なり。風呂敷包を斜に背い、脚絆草鞋穿、杖づく....
「雷」より 著者:海野十三
、この町に入ってきた。その風体は、およそこの田舎町に似合わしからぬ立派なもので、
パナマ帽を目深に被り、右手には太い藤の洋杖をつき、左手には半ば開いた白扇を持ち、....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
通して裳へ流れる線に物憎い美しさを含めている。夫人は裏にちょっと鳥の毛を覗かせた
パナマ帽の頭を傾げて空の模様を見るような恰好をした。飽まで今日の着附けの自信を新....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
か物語りたまう双頬に薄紅さして面はゆげなり。人々の視線一度に此方へ向かえば新郎の
パナマ帽もうつむきける。この二人|間もなく大阪行のにて去る。引きちがえて入り来る....
「電車停留場」より 著者:豊島与志雄
安な空気を更に濃厚にした。 然るに、意外なことで沈黙が破られた。群集の中から、
パナマ帽を目深に被り、仕立下しの薄茶色の洋服をつけ、握り太のステッキを手にした、....
「環礁」より 著者:中島敦
思議に会社関係の人はこれを用いないようである。 ところで、私は、余り上等でない
パナマ帽をかぶって群島中を歩いた。道で出会う島民は誰一人頭を下げない。私を案内し....
「審判」より 著者:カフカフランツ
たことだった。すでにそのとき、叔父が少し前かがみになり、左手にぺしゃんこになった
パナマ帽を持ち、右手を遠くのほうから自分に差出し、邪魔になるあらゆるものにぶつか....
「帯広まで」より 著者:林芙美子
買って帰る娘達もあった。仕事を済ませて一人で宿へ帰ると、六月だと云うのに、伊代の
パナマ帽子は寒気に見えた。宿へ帰ってからも、伊代は、九太を尋ねてゆく方法を色々考....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
返りながら、少し席を譲る間もなく、梯子段《はしごだん》に跫音《あしおと》がして、
パナマ帽を片手に、鼠《ねずみ》セルの二重廻《にじゅうまわし》を着たまま上って来た....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
すべきはずの庄亮(歌人|吉植君)が解纜前五、六分前に、やっとリボンもつけない古い
パナマ帽に尻端折りで、「やあ」と飛び込んで来たことである。「アッハッハ」と豪傑笑....