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一つ事
「一つ事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一つ事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
われが死ぬまでにはこの世の中を少しなりとも善くして死にたいではありませんか。何か
一つ事業を成し遂げて、できるならばわれわれの生まれたときよりもこの日本を少しなり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ると、差し当りなんにも手掛りがない。半七もこれには少し行き悩んでいると、ここに又
一つ事件が起った。 それはこの化け銀杏の下へ女の幽霊が出るというのであった。現....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
人娘なので、はたがかえって淋しい娘に見るのかも知れない。当の真佐子は別にじくじく
一つ事を考えているらしくもなくて、それでいて外界の刺戟に対して、極めて遅い反応を....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ども――」 「渡辺君」 根岸はもどかしそうに声をかけた。 「いつまで愚図々々と
一つ事を聞いていたって仕方がないじゃないか。早くお篠を呼び給え」 「承知だ」 ....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
でね」 岩「どうも是もまア武家奉公で、へゝゝゝ私は五十八でげす」 忠「お父さん、
一つ事ばかり云ってゝ困るね其様な事を云うものではない、明日お立だからお餞別をしな....
「死者の書」より 著者:折口信夫
。耳面刀自。ここに来る前から……ここに寝ても、……其から覚めた今まで、一続きに、
一つ事を考えつめて居るのだ。 古い――祖先以来そうしたように、此世に在る間そう暮....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
で、ジョリクールには、いつまでもじっとしていることが望めなかった。かれは一分間と
一つ事に心を向けていることができなかった。わたしの演説の初めの部分だけはかれも殊....
「獅子は死せるに非ず」より 著者:小栗虫太郎
はない。ただ、唯一の機関、それあるのみだった。 それから、終刊に就いては、もう
一つ事情がある。 それは、「シュピオ」という捨石によって……、せめて一年間も刊....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
、子規はじめ門流一同進むべき方向を見つけた気のしたこと、正風に於ける「古池や」と
一つ事情にあるものである。が、さて其を具体化することは出来ないで了った。その引き....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
の弥陀をめぐる小説、といってもよい作物なのである。私にはどうも、気の多い癖に、又
一つ事に執する癖がありすぎるようである。だが、そう言うてはうそになっている様であ....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
ヤニイノ (機嫌を取る。)君、そんなにがっかりしてしまってはいけない。何時までも
一つ事ばかり考えていてはいけないよ。 チチアネルロ (傷ましく笑いながら。)君は....
「好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
」 女はじっと考えて居た。 「お話しになりにくいかも知れませんから、私から一つ
一つ事情を推定して御たずねしましょう。大平さんは、昨夜、何かあなたを苦しめるよう....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
ソップにでもありそうな図が憶出された。 「あの奥さんがYと?」と私は何度も何度も
一つ事を繰返して「そうだよ、ホントウだよ」とU氏に何度もいわれても自分の耳を疑わ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
所で落したものですからどこへ捜しに行って見ようもない。やはり海の中で物を失ったと
一つ事であるから已むなくそのままにしてだんだん進んで、どうか今夜はテントのある辺....
「天下一品」より 著者:小川未明
その仏像を大事に包んで背中におぶって、町へ出かけてゆきました。途中も、男は、ただ
一つ事しか考えていませんでした。そして、口の中では、千|両……千三百|両……とい....