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「一つ前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一つ前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ない。彼は老人とは思われないほど、心の中で狼狽《ろうばい》し出した。 「このもう一つ前はどうだろう。」 彼はその前に書いたところへ眼を通した。すると、これもま....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
らしい。そこで本間さんは已《や》むを得ず、立った後《あと》の空地へ制帽を置いて、一つ前に連結してある食堂車の中へ避難した。 食堂車の中はがらんとして、客はたっ....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
人間が温柔《おとな》しくなった、言葉を換えて云えば文化的に利口になった証拠が、今一つ前記の表の中に現われている。 全体から云って、いろんな犯罪が無茶苦茶に殖え....
間諜座事件」より 著者:海野十三
黄世子 この中に彼女の名前があるのだ。この出演人員を※としよう。 ところで一つ前の「砂丘の家」には彼女は出なかった。しかしこれと※の十人から先ず消し去って....
連句雑俎」より 著者:寺田寅彦
二句のスケルツォの一楽章においては奔放自在なる跳躍を可能ならしむるため、最後から一つ前の十一句目までは定座のような邪魔な目付け役は一つも置かないことにしてある。....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
う》とした記憶があるが、夢であったかもしれない。それはとにかく、その勧工場のもう一つ前の前身としては浅草《あさくさ》の仲見世《なかみせ》や奥山《おくやま》のよう....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
かなたこなたは、遠方の松の梢も、近間なる柳の根も、いずれもこの水の淀んだ処で。畑一つ前途を仕切って、縦に幅広く水気が立って、小高い礎を朦朧と上に浮かしたのは、森....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
べきだ、と云い出す無産者代表さえ少くないのだ。この偽似的対立に基く進歩の観念と、一つ前に云った挙国一致的進歩の観念とは、その本質を等しくするものだ。 右翼労働....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
男の別れむとする時、女の詠めるなるべし」と云っている。 次手に云うと、この歌の一つ前に、「あしひきの山椿咲く八峰越え鹿待つ君が斎ひ妻かも」(巻七・一二六二)と....
最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
女王も、処女を原則としたが、なかには寡婦を用いたこともある。 しかし、このいま一つ前の形はどうであろう。村々の君主の下になった巫女が、かつては村々の君主自身で....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
あった。 「おまえはな、たゆまず思い起こさねばならぬことがある(とパイーシイは何一つ前置きなしに、いきなり言いだした)。つまり、世界の科学は、一つの大きな力に結....
死の前後」より 著者:豊島与志雄
に沈んでいった。 彼はその憂欝の底から、蔦子と知り合った初めのこと、なおそのも一つ前のことを、まざまざと思い浮べるのだった。 彼が勤めていた依田商事会社に、....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
なり、しかし、いくらでもミレンはあったが、女房がついてるから仕方がない。終電車の一つ前の電車にのって伊東へ戻った。満員スシ詰め、死ものぐるいに押しこまれて来ノ宮....
イプセン百年祭講演」より 著者:久保栄
話を終ることにいたします。 この作も、すでに言うとおり外国で書かれたので、――一つ前の「ブランド」とおなじく南イタリーに滞在したころの制作に属します。作者が知....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
いた。その特色を一語でいってみれば、それは抒情性の優位ということにほかならない。一つ前の『詞花集』と比べて見ると、その点はことによく分る。『詞花集』には、第一に....