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一つ釜
「一つ釜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一つ釜の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
待っていると、「蝶子はんと違いまっか」と話しかけられた。北の新地で同じ抱主の所で
一つ釜の飯を食っていた金八という芸者だった。出世しているらしいことはショール一つ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
んきすぎるんで、あっしもさっきから少しばかり腹だてているんですが、半年のこっちも
一つ釜《かま》のおまんまをいただいているのに、兄貴の了見ばかりゃ、どう考えてもあ....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
われない労働を、ついうっかり、「つとめ」だと思い込んでしまうことが多かった。 「
一つ釜《かま》の飯を食ってるんだから」と水夫たちは思って、我慢しているのだった。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
目問題なのだが、この人では仕方がない――と米友は観念しているらしい。弥勒寺長屋で
一つ釜の飯を食っている時にさえ、出し抜かれたのだから、今宵この場合は、型に心を取....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
らぬ拙者に斬ってかかるというのはわからない、宇津木もおれも、壬生《みぶ》にいては
一つ釜の飯を食った仲じゃないか、それに何を間違っておれに刃《やいば》を向けるのだ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
葉で、心に愛情をもつものの容易に口にすべきことではない。少くとも同じ屋根の下で、
一つ釜の飯をたべながら、これから共同生活をやっていこうとする人たちの間では、決し....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
てお前さんの厄介になって、まだほんとの名前も明かさないあたしだけれど、一日だって
一つ釜のお飯《まんま》を食べれあまんざら他人でもないはず。今朝も出がけに自分から....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
われます。それに師匠といい、弟子と申し、共に縁あってこそ、かくは一つ家根に住み、
一つ釜の御飯をたべ、時には苦労を共にし、また楽しみをも共にし、ひたすらお互いに斯....
「勘平の死」より 著者:岡本綺堂
無理はあるめえ。大それた主殺しを朋輩に持ちながら、知らん顔をして一つ店に奉公して
一つ釜の飯を食っているという法があると思うか。ええ、白ばっくれるな。この中に主殺....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
は、みんな多年の友人ではないか。親しいほどでなくても足利家という大きな屋根の下で
一つ釜の飯を食ってきた奴らばかりだ。どうしてそいつらと戦わねばならぬのか。意味は....
「無宿人国記」より 著者:吉川英治
ぜざるを得なかった。人がではない、自分がである。自分の変化がわからないのである。
一つ釜の飯の同化力はおそろしいものだ、と思った。――この、吉良殿の首番としてごろ....