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一も二もなく
「一も二もなく〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一も二もなくの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
、とうていああおおげさには、おいおい泣けるわけのものじゃない。――そこで、自分は
一も二もなく樗牛をうそつきだときめてしまったのである。だからそれ以来、二度とあの....
「或る女」より 著者:有島武郎
、社会から葬ってしまえとひしめいているのを葉子は聞き知っていたから、ふだんならば
一も二もなく父をかばって母に楯《たて》をつくべきところを、素直《すなお》に母のす....
「或る女」より 著者:有島武郎
すっかり仕立てて差し上げますわ」
この思い付きは葉子には強い誘惑だった。葉子は
一も二もなく勇み立って承知した。
その晩十一時を過ぎたころに、まとめた荷物を人....
「星座」より 著者:有島武郎
ら》をして、女を見てもこれが女かといったような無頓着さを装っている柿江の野郎が、
一も二もなく俺の策略にかかって、すっかり面皮《つらのかわ》を剥がれてしまったと、....
「富士」より 著者:岡本かの子
この秘密で冒険な行旅を、姉の敢行力の庇《かげ》に在って、共々、行い味われたので、
一も二もなく賛成した。 さしむかう鹿島の崎に霞たなびき初め、若草の妻たちが、麓....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。私はこうして懇意にしているからは、君の性質は知ってるんだ。君は惚れたんだろう。
一も二もなく妙ちゃんを見染たんだ。」 「うう、まあ……」と対手の血相もあり、もじ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
すべてがしっかりときりっとして見るもすがすがしいほどである。おはまはおとよさんを
一も二もなく崇拝して、何から何までおとよさんをまねる。おはまはおとよさんの来たの....
「赤外線男」より 著者:海野十三
たので、助手が一人欲しいと予算を出したところ、元来経済難のZ大学なので、助手案は
一も二もなく蹴飛ばされたが、その代り大学部三年の学生で、是非赤外線研究をやりたい....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
い有閑未亡人の生活をつづけている。再縁の話も実は蒼蠅いほどあるのではあるが、妾は
一も二もなくこれをお断りしている。結婚生活なんて、そんなに楽しいものではないから....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
毛のあいだに太い釘を打ち込んで、その跡を塗り消してあるのを発見した。それで犯人は
一も二もなく恐れ入って、裁判はすぐに落着したので、丁はそれを上官の姚忠粛に報告す....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
らの愚にもつかない話のほうが、私には宗教の慰藉などよりも大いなる慰藉になるので、
一も二もなくその会話の渦中に投じて、喋べったり、笑ったり、鏡のなかへ死骸のように....
「兜」より 著者:岡本綺堂
や手入れに忙がしい時節であるので、勘十郎はその兜を買いたいと言い出すと、金兵衛は
一も二もなく承知した。 「どうぞお買いください。これをかぶっていた為にあぶなく真....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
で、今の天下を掻き乱してくれという、そういう希望を述べたのであった。 滝之助は
一も二もなく承知した。 「必らず先生のお志を継ぎ、蔭で機密に仕事をして、徳川家を....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
―ご存じと思います。――故郷の一本松の上り口にそっくりです。 段の数はあるが、
一も二もなく踏掛けた。 あたりに人ッ子一人なし、雨はしきる、相合傘で。 「――....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
る心持はなく、徳永を踏台にして他の仕事を見付ける意でいたのだから、日本人の仕事が
一も二もなく抑えつけられて手も足も出せない当時の哈爾賓の事情を見ては、この上永く....