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一丁
「一丁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一丁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
洞穴のような小屋の入口を見返った。暫《しば》らくすると仁右衛門は赤坊を背負って、
一丁の鍬《くわ》を右手に提《さ》げて小屋から出て来た。
「ついて来《こ》う」
....
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
山の夏刈《なつがり》もやりたいし、畔草《あぜくさ》も刈っねばなんねい……山刈りを
一丁に草刈りを二丁|許《ばか》り、何処《どこ》の鍛冶屋《かじや》でもえいからって....
「親子」より 著者:有島武郎
み重ねたように離れ離れにわびしく立っていた。 農場の事務所に達するには、およそ
一丁ほどの嶮しい赤土の坂を登らなければならない。ちょうど七十二になる彼の父はそこ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
ってみると、今の橋番の言葉が、何か皮肉に聞こえて、苦笑しないではいられなかった。
一丁とは行かないうちに、道の片側にはきれいに耕された広い畑が続いていて、麦が播い....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
短い頃であるから、五時そこそこというのにもうとっぷりと日が暮れて、間は稲荷山ただ
一丁場だけれども、線路が上りで、進行が緩い処へ、乗客が急に少く、二人三人と数える....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
よ。私たちの覚えたのは、内方袖方、御手に蝶や花、どうやどうんど、どうやどうんど、
一丁、二丁、三丁、四丁ッてもう陽気なことばかりで、訳が解らないけれど、貢さんのは....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
華堂とかいうので造っていた。当時の五代目菊五郎の人気などは実に素晴らしいもので、
一丁目の中村座を越えてわざわざ市村座へ通う人も少くなかった。 ◇ ....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
ころを見せたものなぞがあったものである。 三 私の生れた馬喰町の
一丁目から四丁目までの道の両側は、夜になるといつも夜店が一杯に並んだものだった。....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
済まして、川端を歩いていると、釣師が一人柳の木の下に眠っていた。正午だった。鋤が
一丁、傍の馬鈴薯畑の中に、まるで故意に置いてあるような按配に突立っていた。 私....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
て書かはったのどす」 私と母とは、交※に感心の首をふって訊ねた。 「私の父は、
一丁先にある豆粒が見えるほど目が達者なのです。それで目の前の米粒は西瓜ぐらいに見....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
めに、その恋の敵を、暗殺しようとは思わなかった。 しかし文字のあるものが、目に
一丁字のない床屋の若いものに、智慧をつけて、嵩じたいたずらをしたのが害になったん....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
か。しかも許しものの註文です。(何、私と一調だ、可かろう。さあ素裸になりたまえ、
一丁組もう、)と云ったもんだから。――勿論、年増だが、別嬪だから取組んでも可い了....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
、伊藤は専ら椿岳の米三郎を交際方面に当らしめた。 伊藤は牙籌一方の人物で、眼に
一丁字なく、かつて応挙の王昭君の幅を見て、「椿岳、これは八百屋お七か」と訊いたと....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
戸に満たぬ小駅に四個のチャーチあり、各市に医家軒を連ぬる市街数カ所あり、また酒舗
一丁内に数戸ある等、けだし新開地、新植民地にはこの三者の必要あるもののごとし。物....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
機会に、ひとつ独立して石炭ブローカーをやってみよう、という気になった。家も安治川
一丁目のげた屋の裏に月四円五十銭で借りた。四畳と三畳の二間だけの長屋で路地のまん....