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一丁字
「一丁字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一丁字の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
の大字ごとにある神林は欧米の高塔と等しくその村落の目標となる、と言えり。漁夫など
一丁字なき者は海図など見るも分からず、不断山頂の木また神社の森のみを目標として航....
「悟浄歎異」より 著者:中島敦
ら実物《ほんもの》を見分けることのできぬ俺と比べて、なんという相異だろう! 目に
一丁字《いっていじ》のないこの猴《さる》の前にいるときほど、文字による教養の哀れ....
「門」より 著者:夏目漱石
い男で、今では修業もだいぶでき上がっていると云う話だったが、会って見ると、まるで
一丁字《いっていじ》もない小廝《こもの》のように丁寧《ていねい》であった。こうし....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
楽しんで、その憧憬を恣にすることは必ずしも稀らしくない。しかしかれは文盲だ、眼に
一丁字なく、耳に一章句を解せぬが、しかもよく大義名分を弁え、日露の役には区民に率....
「父」より 著者:金子ふみ子
けれど、父も母も一字だって私に教えてはくれなかった。父には誠意がなく、母には眼に
一丁字もなかった。母が買物をして持って帰った包紙の新聞などをひろげて、私は、何を....
「太宰治情死考」より 著者:坂口安吾
になるものだ、ということを皆さんは理解されるであろうか。角力トリのある人々は目に
一丁字もないかも知れぬが、彼らは、否、すぐれた力士は高度の文化人である。なぜなら....
「戦争論」より 著者:坂口安吾
うことは、有り得ない。 軍人たちは、戦争中、弾圧、禁止を乱用したものだが、目に
一丁字なき軍人がこれを行うのは、ともかく、文化国家と自称するものが、禁止の安易に....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
々彦のコクリサマは真相を語っていたようだ。こういうフシギはよくあるものだぜ。目に
一丁字もない男女が予言を行って狂わぬことがあるものだ。英信が別館へ立ち戻ったとき....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
より四つぐらい年上でしたから、その時分もう三十になっていました。生国は越後で眼に
一丁字もない無学文盲でしたけれども、性来の利発もの、お世辞はないが実直でなかなか....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
めに、その恋の敵を、暗殺しようとは思わなかった。 しかし文字のあるものが、目に
一丁字のない床屋の若いものに、智慧をつけて、嵩じたいたずらをしたのが害になったん....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
、伊藤は専ら椿岳の米三郎を交際方面に当らしめた。 伊藤は牙籌一方の人物で、眼に
一丁字なく、かつて応挙の王昭君の幅を見て、「椿岳、これは八百屋お七か」と訊いたと....
「教育の事」より 著者:福沢諭吉
なる箇条をも挙げてこれを他人に託するとは、果たして何の心ぞや。試みに思え、古来|
一丁字《いっていじ》を知らざる母が、よくその子を育して遂に天下の一大家となしたる....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
くして靴を没す。また、往々汚水の毒色を帯びて滞留するあり。これに住する人民は目に
一丁字を解せず、身に破褸を着け、垢臭人を襲わんとするも、はだしのもの少なく、裸体....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
だから新幕府下の権勢家でも、かいもく無学なのが少なくなかった。山名時氏などは目に
一丁字もなかったという。そうした中では、師直は、何しろ群を抜いていた。 彼は、....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
あるに反して、昔の聴衆は幽界の消息と、因果応報のことわりとを悦んだ。すなわち目に
一丁字なきこれ等の女性文人が、特に物識りとして尊ばれた根拠である。 これが福島....