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一人静
「一人静〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一人静の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
毛人の女が一人せっせとタイプライタアを叩《たた》いている。そこへ紅毛人の婆さんが
一人静かに戸をあけて女に近より、一封の手紙を出しながら、「読んで見ろ」と云う手真....
「時間」より 著者:横光利一
いたまま雨の中をびしょびしょといくのであるが、そんなにありあり弱りが見えるともう
一人静に泣き続けている病人だけが一番丈夫な人間のようにさえ思われ出して、いったい....
「伸子」より 著者:宮本百合子
張し張り切って来る心の苦痛で彼女は一種の偏執狂《モノメニア》になりかけであった。
一人静かにいる時、彼女は、この生活がいつまで続くかという恐怖の塊りであった。もう....
「旅愁」より 著者:横光利一
日光が射していて、微風に蔓草の揺れる間を、切れるようなズボンの折目の正しい紳士が
一人静かに歩いて来た。
「でも、あたし、実は何も考えることがないんですのよ。何か....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
廷は彼を解放した。彼はそれを感謝していた。彼は人々の敵意を感謝していた。これから
一人静かに働き得るのだった。
ルイザは心から彼に賛成した。彼女はなんらの野心を....
「聖女人像」より 著者:豊島与志雄
周囲への無関心さに、心惹かれ、同時にまたそれから嘲笑される。――こういう時には、
一人静かに酒を飲むがよい。安物だけれどウイスキーならいささか蓄えがある。 婆や....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
前に全部倒れてしまったのをチャンと見届けていらッしゃるから、あせらず、あわてず、
一人静々とゴールインあそばす。某競輪雑誌がこの独走ゴールインの写真説明に曰く、 ....
「朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
するという富家《ふうか》の女《ひと》は、石の上露子とも石河の夕千鳥とも名乗って、
一人静かに箏を掻《か》きならす上手《じょうず》の名があった。それからまた、横浜か....