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一件
「一件〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一件の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片恋」より 著者:芥川竜之介
来た時から酔っていたんだ。
が、いくら酔っていても、久しぶりじゃあるし、志村の
一件があるもんだから、大《おおい》に話がもてたろう。すると君、ほかの連中が気を廻....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
哲は、また畳廊下《たたみろうか》で、河内山に出っくわした。
「どうしたい、宗俊、
一件は。」
「
一件た何だ。」
了哲は、下唇をつき出しながら、じろじろ宗俊の顔を....
「路上」より 著者:芥川竜之介
《ごぶがり》の頭を撫《な》で廻したが、
「実は例の癲狂院《てんきょういん》行きの
一件なんだが――どうだろう。君が僕の代りに初子《はつこ》さんを連れて行って、見せ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
電話がかかって来たじゃありませんか。しかもその電話と云うのが、ほかならないお敏の
一件で、聞けば昨夜遅くなってから、泰さんの所へお敏が来た。そうして是非一度若旦那....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
げて、 「なんだってまた?」 「何もかにも理窟《りくつ》なんぞはありゃせん。あの
一件を根に持って、喧嘩《けんか》を仕掛けに来たのさね」 「うむ、生意気な! どう....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
から、気さえ確《たしか》なら足駄《あしだ》でも歩行《ある》かれる。
それがさ、
一件じゃから耐《たま》らぬて、乗るとこうぐらぐらして柔かにずるずると這《は》いそ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
そこでだ……お茶と申すは、冷たい……」 と口へつけて、指で飲む真似。 「と行る
一件だ。」 「め組に……」 「沢山だ、沢山だ。私なら、」 と声ばかり沢山で、俄....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
と熱いから、そこで、あの児をそららへ遣ってよ。 さあ、気になるのは昨夜の山道の
一件だ。……赤い猿、赤い旗な、赤合羽を着た黒坊主よ。」 「緋、緋の法衣を着たでご....
「春昼」より 著者:泉鏡花
に染むかと笑いかけた。 「何でもなかあねえだよ。彼処さ東京の人だからね。この間も
一件もので大騒ぎをしたでがす。行って見て進ぜますべい。疾うに、はい、何処かずらか....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
孫児を、継子扱いにしましたようで、貴女へも聞えが悪うござりますので。 綿の上積
一件から荷に奴を縛ったは、爺どのが自分したことではない事を、言訳がましく饒舌りま....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
火、榾、柴を焚いて煙は揚げずとも、大切な事である。 方便な事には、杢若は切凧の
一件で、山に実家を持って以来、いまだかつて火食をしない。多くは果物を餌とする。松....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
。」 「ええ、僕は大分久しい前からなんです。義作君はたった今、その馬が放れました
一件で。」 「実は何でございます、飛んだ疎匆をいたしやして、へい。ねえ、お道どん....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
に、ひがみもあれば気が怯けるのに、目の前に異彩を放つ山河内の姫が馬車に積んで来た
一件物、お夏はまた一倍肩身が狭くなるのであった。 されば気の挫けた声も弱く、 ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
てた早口、 「串、串戯をいっちゃ不可ません。誰がそんな、だってお前さん、火の玉の
一件じゃありませんか。ええ、おかみさん。 私等が口を利くにゃこっちの姉さんの氏....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
える。フレンチはやっとの事で身を起した。願わくはこのまま車に乗っていて、恐ろしい
一件を一分時間でも先へ延ばしたいのである。しかしフレンチは身を起した。そして最後....