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一体
「一体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一体の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
いていた笛を腰へさして、叮嚀におじぎをしながら、
「もし、もし、殿様、あなた方は
一体、どちらへいらっしゃるのでございます。」と尋ねました。
すると二人の侍が、....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
、いろいろ悪い噂《うわさ》も聞いています。そんな男に引懸《ひっか》かるというのは
一体どういう量見《りょうけん》なのでしょう。………
「僕は小《こ》えんの不しだら....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
一人の人物を想像して、何度となく恐しい不安の念に脅《おびや》かされました。あれは
一体楢山夫人でしたろうか。あるいはまた束髪に薔薇《ばら》の花をさした勝美夫人だっ....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
たいな木が立っているんです。両側はずっと西洋館でしてね。ただ、写真が古いせいか、
一体に夕方みたいにうすぼんやり黄いろくって、その家《うち》や木がみんな妙にぶるぶ....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
けいやくしょ》と引き換えに三百円だけ貰ったのです。ではその死後に受けとる二百円は
一体誰の手へ渡るのかと言うと、何《なん》でも契約書の文面によれば、「遺族または本....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
れて、冴《さえ》返る心の底へしみ透って来る寂しさは、この云いようのない寂しさは、
一体どこから来るのであろう。――内蔵助は、青空に象嵌《ぞうがん》をしたような、堅....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
洋一の顔を眺めた。が、洋一は黙っていた。兄が今日帰るか帰らないか、――と云うより
一体帰るかどうか、彼には今も兄の意志が、どうも不確かでならないのだった。
「それ....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
に住んでいるのですね。背《せい》のすらりとした、ものごしの優しい、いつも髪は――
一体読者の要求するのはどう云う髪に結《ゆ》った女主人公ですか?
主筆 耳隠《み....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
かしている。彼女はそのためにいつものように微笑《びしょう》することも忘れたなり、
一体細引を何にするつもりか、聞かしてくれと歎願した。しかし夫《おっと》は苦しそう....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
想がよくなりました。 「こんなに沢山頂いては、反って御気の毒ですね。――そうして
一体又あなたは、何を占ってくれろとおっしゃるんです?」 「私が見て貰いたいのは、....
「狂女」より 著者:秋田滋
僕にはどうしても忘れられなかった。絶えずそのことばかり考えていた。 兵士たちは
一体あの女をどうしたのだろう。森をこえて、あの女は逃げたのだろうか。誰かがどこか....
「初雪」より 著者:秋田滋
人が這入って来た。妻が泣いているのを見ると、良人はびッくりして訊くのだった。 「
一体どうしたッて云うんだい、え?」 そう云う良人は、ほんとうに幸福な人間だった....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
こういう人たちのなかに探ねる息子のジャンもいるに違いないのだと思った。けれども、
一体どうして息子を探せばいいのか、その見当は皆目つかなかった。それに息子に別れて....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
あらァ誰かいネ。古い博多の事ばよう知ッとるし、なかなか好い、博多のモンとありゃ、
一体誰じゃろうかい」等と、次兵衛達や、田舎芸術家達の間に、サンザン首をひねらした....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
作の話では、伊作の最初に見付けた時は、赤児はよく眠っていたということでした。 「
一体|何処の子供だべいな? いい顔つきっこをしてるのにな!」 多助は赤児の顔を....