一具[語句情報] »
一具
「一具〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一具の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
三娘子は或るうつわを取り出して、それを蝋燭の火に照らし視た。さらに手箱のうちから
一具の鋤鍬と、一頭の木牛と、一個の木人とを取り出した。牛も人も六、七寸ぐらいの木....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
穂竿の蛇口に着け、釣竿を順に続いで釣るべく準備した。シカケとは竿以外の綸その他の
一具を称する釣客の語である。その間にチョイチョイ少年の方を見た。十二、三歳かと思....
「白くれない」より 著者:夢野久作
の中より数枚を取り出し、丸山の妓楼に上り、心利きたる幇間に頼みて、彼の香煙の器械
一具と薬の数箱を価貴く買入れぬ。こは人に知らせじと思ひし、わが人斬りの噂、次第に....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
公子 可、その金銀を散らし、施し、棄て、蔵を毀ち、家を焼いて、もとの破蓑一領、網
一具の漁民となって、娘の命乞をすれば可かった。 美女 それでも、約束の女を寄越せ....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
荒れた寂しい庭を誘って、その祠の扉を開けて、燈明の影に、絵で知った鎧びつのような
一具の中から、一冊の草双紙を。…… 「――絵解をしてあげますか……(註。草双紙を....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
、手がわりに銃を受取ると斉しく、むくむく、もこもこと、踊躍して降りたのを思うと、
一具の銃は、一行の名誉と、衿飾の、旗表であったらしい。 猟期は過ぎている。まさ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
かしい親切である。青鈍色の細長、落栗色とか何とかいって昔の女が珍重した色合いの袴
一具、紫が白けて見える霰地の小袿、これをよい衣裳箱に入れて、たいそうな包み方もし....
「源氏物語」より 著者:紫式部
と下ろされていた。この室は別にして平生使用されていない所であったから、高い棚厨子
一具が置かれ、袋に入れた屏風なども所々に寄せ掛けてあって、やり放しな座敷と見えた....
「源氏物語」より 著者:紫式部
人とすらも別れるのを悲しく宮は思召した。浮舟のために作らせておありになった櫛の箱
一具、衣裳箱一つを宮は贈り物にあそばした。その人のためにお設けになった物は多かっ....
「多神教」より 著者:泉鏡花
、堪忍して、よう。堪忍……あれえ。 からりと鳴って、響くと斉しく、金色の機の梭、
一具宙を飛落つ。一同|吃驚す。社殿の片扉、颯と開く。 巫女 (階を馳せ下る。髪は....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
い証には、出刃も焼火箸も持っていない、渋団扇で松葉を燻していません。ただ黒い瓶を
一具、尻からげで坐った腰巻に引きつけて、竹箆で真黒な液体らしいものを練取っている....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ません。」 覗くまでの事はない。中でも目に立った、落着いて花やかな彩色の花瓶が
一具、まだ飾直しもしないと見えて、周囲一尺、すぽりと穴のあいたようになっているの....