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「一利〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一利の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
三四郎」より 著者:夏目漱石
口が例の調子で、 「罪がない代りに、たいへん計算がめんどうになってきた。やっぱり一利一害だ」と言った。この一言《いちごん》で、人々はもとのとおりビールの気分に復....
善の研究」より 著者:西田幾多郎
子となり子が親となりここに始めて親子の愛情が起るのである。親が子となるが故に子の一利一害は己《おのれ》の利害のように感ぜられ、子が親となるが故に親の一喜一憂は己....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
さい硯と墨を使っている者もあり、今から思えばずいぶん不便でした。 しかしまた、一利一害の道理で、われわれは机にむかって通信を書く場合はほとんど無い。シナ家屋の....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
と皆が云う。共同して馬を飼うたらと云ったこともあるが共同が中々行われぬ。 馬も一利一害である。余の字には、二三年来二十七戸の内で馬を飼う家が三軒出来た。内二軒....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
、途中の大切な階段を無視して、一躍最後の理想境を求めんとするが、これは百弊ありて一利なしである。何の得る所なき自己陶酔、キザな神様気取りの、聖者気取りの穀潰しが....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
私には子供がない。全然手がかりがないわけであるから、その方が観察に新鮮味をそえる一利はあっても、調査の労力、時間というものが何倍となく要する。学校の教科書だって....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
八十個の玉子より産みませんが、今日行わるる改良種は平均百八十個産みます。ところが一利一害は免れぬものでありまして産卵の少ない在来種の玉子は滋養分も多く、味もはる....
南国太平記」より 著者:直木三十五
申しましたる如く、御家の大事、又、兵道の絶滅、逸《はや》れば、即ち、二害あって、一利も無し――よって某、今宵より、修法を廃し、老師の霊気の散消するをまって、と―....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
先生の論理と論理の性質を異にしているから、新聞の短い文章で答がでるのは百害あって一利なし。私は、身の上相談欄というものは、単なる読み物で、それも一番低俗な読み物....
魔都」より 著者:久生十蘭
んどうさは、誰しも想像することが出来る。のみならずそれを敢てすることは百害あって一利ないのだから、済むものなら浪風を立てずに済ましたいところである。こういう場合....
温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
る代りに、なんとなくがさついて落着きのない、一夜どまりの旅館式になってしまった。一利一害、まことに已むを得ないのであろう。 四 万事の設備不完全なる....
日和下駄」より 著者:永井荷風
保存してくれるものである。思えば世の中は不思議に相贖《あいあがな》うものである。一利一害、今さらながら応報の説が殊に深く感ぜられる。 秋骨君が言う処|大《お....
水のながれ」より 著者:永井荷風
水はいつも濁って澄むことなく、時には臭気を放つことさえあるようになったのも、事に一利あれば一害ありで施すべき道がないものと見える。浅草の観音菩薩《かんのんぼさつ....
握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
い。茶を入れるくらいの手伝いで、おやじを助けるところが関の山である。 しかし、一利一害あって、それなるが故にまったく一人芸の表われがあり、個性的な点からいえば....
料理する心」より 著者:北大路魯山人
しながら、ちょっとした気儘で箸もとらないというようなことも、間々あるのです。まあ一利一害というのでありましょう。 さて、今日ここでお話ししますことは、料理と食....