一刻千金[語句情報] » 一刻千金

「一刻千金〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一刻千金の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
やがてのことにしっとりと花曇りの日は暮れて、ひたひたと押し迫って来たものは、一刻千金と折紙のつけられているあの春の宵です。その宵の六ツ半頃――。 「御前……....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ひと回りするんだ」 「ちぇッ、たまらねえことになりゃがったもんだな。じゃ、辰ッ、一刻千金だ、はええとこしたくをしろよ!」 「待てッ、あわてるな」 「でも、早駕籠....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
名人のむっつり右門ばかりは、あいもかわらずじれったいほどな品行方正さでしたから、一刻千金もなんのその、ひとり寝をさせるには気のもめる、あの秀麗きわまりない肉体を....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
熱心に宗教書を読み耽っていた。 机の上の瑞西から持って帰った置時計はチクタクと一刻千金と云われる春の宵を静に刻んでいた。 折柄襖が静かに開いて夫人が淑かに現....
旅愁」より 著者:横光利一
うに定っている迷惑となるのも、およそ分ったことだった。あの何ものにも代えがたい、一刻千金のいのちの感覚を、すべて夢だとされてはたまらなかった。しかし、まだこのま....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
の石川でさえ芝居で見ると、せり上がる山門の欄干へ片足をかけ大きな煙管をくわえて「一刻千金とはちいせえちいせえ」とか申すようであります、あの一言で石川もなかなか神....
錦木」より 著者:宮本百合子
のしとね、上には紅の花の雲、花の香にようてかすむ月かげは欄干近くその姿をなげる。一刻千金も高ならぬその有様をまともに見る広間はあけはなされてしきつめられた繧繝べ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
りです。せいぜい、丁を出さないようにしてやるつもりですが。六日までに二日、五日と一刻千金が二日ぬけますから。でも凌ぎよくなりましたね。風には秋がおとずれています....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
力がいります。これらすべて面白い、悠々とした希望にみたされた文学的展望でしょう?一刻千金というところね。ああ私には今ここをおよみになった瞬間に、あなたの口元に泛....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
かった。両手で膝をかかえたまま、彼は一心にじぶんの長靴をみつめていた。 まさに一刻千金の良夜である! 静けさ、ほの明り、かぐわしい花の匂い、それにまた、人の心....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
生えて、神隠し事件と言い何といい、いつもならそぞろ歩きに賑わうはずのこの町筋も、一刻千金の涼味を捨てて商家は早くも鎧戸を閉《た》て初め、人っ子ひとり影を見せない....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
の綸に注ぎ、来るか来るかと、待ちわびしが、僅に、当歳魚五六尾挙げしのみにて、終に一刻千金と当てにしたりし日も暮れぬ。 薄暗き小ランプを友として、夕飯を喫す。西....