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一匹
「一匹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一匹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
れから高い窓を見上げる。が、窓には誰も見えない。ただ逞《たくま》しいブルテリアが
一匹、少年の足もとを通って行く。少年の匂《におい》を嗅《か》いで見ながら。
....
「カルメン」より 著者:芥川竜之介
僕はT君に注意した。薄い光のさしたグラスの中にはまだ小さい黄金虫《こがねむし》が
一匹、仰向《あおむ》けになってもがいていた。T君は白葡萄酒《しろぶどうしゅ》を床....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
に角《かく》世間並みに出来上った男に違いなかった。が、彼女の軽蔑《けいべつ》する
一匹の雄《おす》にも違いなかった。こう云う彼等の幸福は彼女には殆《ほとん》ど不正....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
》は、しばらく考えていましたが、
「私《わたくし》は犬が好きですから、どうか犬を
一匹下さい。」と答えました。
すると、大男は笑いながら、
「高が犬を
一匹くれな....
「影」より 著者:芥川竜之介
、この部屋の中の光線に、どんよりした赤味を加え始めた。と同時に大きな蠅《はえ》が
一匹、どこからここへ紛《まぎ》れこんだか、鈍《にぶ》い羽音《はおと》を立てながら....
「河童」より 著者:芥川竜之介
の時がはじめてだったのです。僕の後ろにある岩の上には画《え》にあるとおりの河童が
一匹、片手は白樺《しらかば》の幹を抱《かか》え、片手は目の上にかざしたなり、珍し....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
云う合図《あいず》をした。靄《もや》の中に仄《ほの》めいた水には白い小犬の死骸が
一匹、緩《ゆる》い波に絶えず揺《ゆ》すられていた。そのまた小犬は誰の仕業《しわざ....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
みんな妙にぶるぶるふるえていて――そりゃさびしい景色なんです。そこへ、小さな犬を
一匹つれて、その人があなた煙草をふかしながら、出て来ました。やっぱり黒い服を着て....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
夫だとも。――ねえ、お蓮さん。この膃肭獣《おっとせい》と云うやつは、牡《おす》が
一匹いる所には、牝《めす》が百匹もくっついている。まあ人間にすると、牧野さんと云....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
ます。と申しますのは、ある時この男が深い林の中を通りますと、小さな蜘蛛《くも》が
一匹、路ばたを這《は》って行くのが見えました。そこで※陀多は早速足を挙げて、踏み....
「女」より 著者:芥川竜之介
》の花の底に、じっと何か考えていた。
すると空に翅音《はおと》がして、たちまち
一匹の蜜蜂が、なぐれるように薔薇の花へ下りた。蜘蛛《くも》は咄嗟《とっさ》に眼を....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
|街道《かいどう》へ飛び出したそうです。するとある農家の前に栗毛《くりげ》の馬が
一匹|繋《つな》いである。それを見た半之丞は後《あと》で断《ことわ》れば好《い》....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
残っていまいね?」
「ええ、一時間ばかり前に立ってしまいました。もっとも馬ならば
一匹いますが。」
「どこの馬かね?」
「徳勝門外《とくしょうもんがい》の馬市《う....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ざ波のきらきら立っているのを見つけた。さざ波は足もとへ寄って来るにつれ、だんだん
一匹の鮒《ふな》になった。鮒は水の澄んだ中に悠々と尾鰭《おひれ》を動かしていた。....
「初雪」より 著者:秋田滋
番だった。自分が鷓鴣に出あった場所を教えたり、ジョゼフ・ルダンテューの猟場に兎が
一匹もいなかったことに驚いてみせたりした。そうかと思うと、また、アンリ・ド・パル....