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一升
「一升〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一升の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
この芸術的感激の涙の中へ身を隠した。そこには一月六円の間代《まだい》もなければ、
一升七十銭の米代もない。カルメンは電燈代の心配もなく、気楽にカスタネットを鳴らし....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
当りがあるか、ごほりと咳きつつ、甘酒の釜の蔭を膝行って出る。 「静岡じゃ、お米は
一升|幾干だい。」 「ええ。」 「厭よ、後生。」 と婆さんを避けかたがた、立構....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ってる。二月に入ればよい日を見て種井浚いをやる。その夜は茶飯ぐらいこしらえて酒の
一升も買うときまってる。 今日は珍しくおはま満蔵と兄と四人|手揃いで働いたから....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
机に向かっていられるのである。 大尉は、艦長と一杯のむつもりで、片手に日本酒の
一升壜をぶらさげているのであった。 「さあ、こっちへ入りたまえ」 艦長は、しず....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
頬被りした脊の高い草鞋ばきの親仁が、柄の長い鎌を片手に、水だか酒だか、縄からげの
一升罎をぶら下げたのが、てくりてくりと、畷を伝い、松茸の香を芬とさせて、蛇の茣蓙....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
逗留というのに元気づいて、血気な村の若い者が、三人五人、夜食の惣菜ものの持寄り、
一升徳利なんぞ提げて、お話|対手、夜伽はまだ穏な内、やがて、刃物切物、鉄砲持参、....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
も下りたのはただ二人で、改札口へ渡るべき橋もない。 一人がバスケットと、一人が
一升|壜を下げて、月はなけれど敷板の霜に寒い影を映しながら、あちらへ行き、こちら....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
る。 「蟹は甲らに似せて穴を掘る……も可訝いかな。おなじ穴の狸……飛んでもない。
一升入の瓢は
一升だけ、何しろ、当推量も左前だ。誰もお極りの貧のくるしみからだと思....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
よ。会のかえりに酔払って、今夜、立処に飛込むんだ。おでん、鍋焼、驕る、といって、
一升買わせて、あの白い妾。」 「肝腎の文金が、何、それまで居るものか。」 「僕は....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
まめ出た 働いて空腹に食う飯の味 ほんとにうまい三平汁吸う 骨折れる仕事も慣れて
一升飯 けろりと食べる俺にたまげた
一升飯食える男になったよと 漁場の便り友に知....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
茗荷を掴み添えた、真竹の子の長い奴を、五六本ぶら下げていましたが、 (じゃあ、米
一升でどうじゃい。) すぐこう云うと、詰襟が、 (さあ、それですがね。) (銭....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ちゃあ身動きがならねえ。 作平さん、こうなりゃお前が対手だ、放しッこはねえぜ。
一升買うから、後生だからお前今夜は泊り込で、炬燵で附合ってくんねえ。一体ならお勝....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
をして、古襦袢、ぼろまでを脱ぎ、木綿の帯を半分に裂いて屑屋に売って、ぽんぽち米を
一升炊きした、その時分はそれほど懇意だったのですが。――また大食いな男で、
一升一....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
に、じろりじろりと視る。……お悦がその姿で、……ここらでは今でも使う――角樽の、
一升入を提げていたからである。 (――時に、ここで乃聞いたのが、綺麗な扇を持った....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
してどなると、お雪はやがて外へ出ていった気配である。やがて帰ってきたときには米の
一升も袋に包んだのを持っている。あとできくと、髪の道具を質において米を買ってきた....