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一口
「一口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
前は『さまよえる猶太《ユダヤ》人』だろう。」
彼はウヰスキイ炭酸《たんさん》を
一口《ひとくち》飲み、もう一度ふだんの彼自身に返った。
「僕はそんなに単純じゃな....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
って来た。しかし金将軍は少しも騒《さわ》がず、咄嵯《とっさ》にその宝剣を目がけて
一口の唾《つば》を吐きかけた。宝剣は唾にまみれると同時に、たちまち神通力《じんつ....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
》 主筆の肥っているだけに痩《や》せた上にも痩せて見える三十前後の、――ちょっと
一口には形容出来ない。が、とにかく紳士と呼ぶのに躊躇《ちゅうちょ》することだけは....
「少年」より 著者:芥川竜之介
うと、わざと彼の鼻の上へ醤油の匂《におい》のする刺身《さしみ》を出した。彼は勿論
一口に食った。それから感謝の意を表するため、こう父へ話しかけた。
「さっきはよそ....
「運」より 著者:芥川竜之介
たように聞いて居りますが。」
「どんな事があったね。」
「どんな事と云って、そう
一口には申せませんがな。――しかし、貴方《あなた》がたは、そんな話をお聞きなすっ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
「大きにそうだっけ。だがまさか――まさかその麦酒のコップへ、あの婆が舌を入れて、
一口頂戴したって次第でもなかろう。それならかまわないから、干してしまい給え。」―....
「或る女」より 著者:有島武郎
んなの前に引き出しておいて、罪人にでもいうように宣告してしまったのです。わたしが
一口でもいおうとすれば、五十川のいうには母の遺言ですって。死人に口なし。ほんとに....
「或る女」より 著者:有島武郎
杜絶《とだ》やしてしまった。
「貞《さあ》ちゃんやっぱり駄々《だだ》をこねるか」
一口酒を飲んで、ため息をつくように庭のほうに向いて気を吐いた倉地は、自分で気分を....
「新日本の進路」より 著者:石原莞爾
主義者が自己に反對するものは何でも「赤」と攻撃したごとく、自己に同調せざるものを
一口に「フアツシヨ」とか、「全体主義」とか、理性をこえた感情的惡罵に使用する傾向....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
この海の他に、またこんな海があろうとは思えんくらいじゃ。」 と頷くように茶を
一口。茶碗にかかるほど、襯衣の袖の膨らかなので、掻抱く体に茶碗を持って。 少年....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
ite ばかりでございますが、……」 僕は曹達水の中にウイスキイを入れ、黙って
一口ずつ飲みはじめた。僕の鄰には新聞記者らしい三十前後の男が二人何か小声に話して....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
にうちあけてしまいました。すると、 「ばかな事をお言いでないよ。」 と、牝鶏は
一口にけなしつけるのでした。 「お前さん、ほかにする事がないもんだから、ばかげた....
「兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
彼の人間の出来上っている結果だろうと思う。ではその人間とはどんなものだと云うと、
一口に説明する事は困難だが、苦労人と云う語の持っている一切の俗気を洗ってしまえば....
「墓」より 著者:秋田滋
ました女、あれはわたくしの愛人だったのです。わたくしはその女を愛しておりました。
一口に愛していたと申しましても、わたくしは、肉体的な愛慾とか、あるいはまた尋常一....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
たずらに石塔を倒し、寺男や坊さんに追いかけられたものである。尤も昔は樹木も茂り、
一口に墓地というよりも卵塔場という気のしたものだった。が、今は墓石は勿論、墓をめ....