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一基
「一基〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一基の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
て茫と座敷へ映るのであろう……と思う。欄干下の廂と擦れ擦れな戸外に、蒼白い瓦斯が
一基、大門口から仲の町にずらりと並んだ中の、一番末の街燈がある。 時々光を、幅....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
とその一時間が、私どもの食事に当っておりますので」
それから法水は、甲冑武者を
一基一基解体して、その周囲は、画図と画図との間にある龕形の壁灯から、旌旗の蔭にな....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
をあげて太い錨鎖をがらがらとまきあげていった。 このとき飛行島内のエンジンは、
一基また
一基、だんだんに起動されていって、その響は飛行島の隅々までもごとごとと伝....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
引の足拵えだし、腰達者に、ずかずか……と、もう寄った。 「いや、御苦労。」 と
一基の石塔の前に立並んだ、双方、膝の隠れるほど草深い。 実際、この卵塔場は荒れ....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
った今、思わず、「あ!」といったのは誰だろう。 いま辻町は、蒼然として苔蒸した
一基の石碑を片手で抱いて――いや、抱くなどというのは憚かろう――霜より冷くっても....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
の左に、とりわけ暗く聳えた杉の下に、形はつい通りでありますが、雪難之碑と刻んだ、
一基の石碑が見えました。 雪の難――荷担夫、郵便配達の人たち、その昔は数多の旅....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
も一坐の山にも悉く神経が通っている。 彼は亭の前まで来た、其横手に石燈籠が幽に
一基燈っている。 「はて」と不思議そうに呟き乍ら、彼は其前に彳んだ。どう考えても....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
異人館へ来たのかと思った。 瓔珞を垂らした切子形の、ギヤマン細工の釣り灯籠が、
一基天井から釣り下げられていたが、それの光に照らされながら、いろいろの器具、さま....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
箱を抱え飛鳥のように駆け過ぎた。 奈良宝隆寺から西一町、そこに大きな畑があり、
一基の道標が立っていた。 今、日は西に沈もうとして道標の影が地に敷いている。 ....
「鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
が閉めきってあるためか、昼だというのに、黄昏のように暗かった。部屋の中央の辺りに
一基の朱塗りの行燈が置いてあって、熟んだ巴旦杏のような色をした燈の光が、畳三枚ぐ....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の義足が二本並んでいた。前方には、竹帙形に編んだ礼盤が二座、その左端に火焔太鼓が
一基、その根元に笙が一つ転がっている。二つの礼盤の中央には、五鈷鈴や経文を載せた....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
として練り出されるのであった。 七基は二の鳥居前より甲州街道の大路を西に渡り、
一基は随身門の前より左に別れ、本町宿の方から共に番場宿の角札辻の御旅所にと向うの....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、白珊瑚の枝に似た貝殻だらけの海苔粗朶が堆く棄ててあるのに、根を隠して、薄ら蒼い
一基の石碑が、手の届きそうな処に人の背よりも高い。 六 「おお、気....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
だが、すぐ近くに、造作なく、遠い心覚えの、見当がついた。 ――一本松と、そこの
一基の燈籠である―― おなじ一本松という――名所が、故郷なる金沢、卯辰山の山の....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
られたものではなく、当初太子の宮殿を捨して寺となし、その附近にこれと並べて西方に
一基の塔婆を建築したという様な事から、遂にこの伝統的特異なる伽藍配置をなすに至っ....