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「一塊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一塊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
》の柄《つか》へ手をかけたが、やめて、くちびるを急に動かすとたちまち相手の顔へ、一塊の痰《たん》をはきかけた。 「おぬしのような畜生には、これがちょうど、相当だ....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
。彼女の過去は暗いものだった。彼女は病家の主人だの病院の医者だのとの関係上、何度一塊の青酸加里を嚥《の》もうとしたことだか知れなかった。この過去はいつか彼女の心....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
、数《かず》にしておよそ二三十人、中には竹馬に跨った童部《わらべ》も交って、皆|一塊《ひとかたまり》になりながら、罵《ののし》り騒いでいるのでございます。さては....
或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
》なのです。しかし目だけは天才らしい閃《ひらめ》きを持っているのですよ。彼の目は一塊《いっかい》の炭火《すみび》のように不断の熱を孕《はら》んでいる。――そう云....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
引張って行った。集会所に来た時は二人とも傷だらけになっていた。有頂天になった女は一塊の火の肉となってぶるぶる震えながら床の上にぶっ倒れていた。彼れは闇の中に突っ....
卑怯者」より 著者:有島武郎
せて二十人くらいもいるにはいたのだった。だがその二十人ほどは道側の生垣のほとりに一塊《ひとかたま》りになって、何かしゃべりながらも飛びまわることはしないでいたの....
ある宇宙塵の秘密」より 著者:海野十三
ないのだけれど、博士の最後ほど奇々怪々なるものはなかったのである。じつに博士は、一塊の宇宙塵として天空にその姿を消されたのであった。地球が生れて八十億年、その間....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
このすみにも見つけられない時のさびしさはまたなんと喩えようもない。その時私は全く一塊の物質に過ぎない。私にはなんにも残されない。私は自分の文学者である事を疑って....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
かしこの考え方の帰結は、次のようになる。すなわち、全宇宙は結局『寒冷で暗黒なただ一塊の団塊になろう』としてその方へ歩みを進めているというのである。この必然の帰結....
怪星ガン」より 著者:海野十三
間に、まっ赤に熱し、たちまち形がくずれてどろどろになり、そしてつぎの瞬間に全体が一塊のガス体となって消え失せる。どうだ、宇宙線レンズはすごい力を持っているだろう....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
所、鳥博士の新墓の前に彳み候が、冷く莞爾といたし候とともに、手の壺|微塵に砕け、一塊の鮮血、あら土にしぶき流れ、降積りたる雹を染め候が、赤き霜柱の如く、暫時は消....
黒百合」より 著者:泉鏡花
四 「まあ、若様、あなた、こっちへお上り遊ばしましな。」と小間使は一塊の湿った土をあえて心にも留めないのであった。 「面倒臭いや、そこへ入り込むと....
幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
o! please you!』 と来るかな。そこで彼等は同時に箸を著け、同時に一塊の蛇肉を抓む。――いやいや。どうも蛇肉ではグロだ。やっぱり鰻という方がいい。....
狂人日記」より 著者:秋田滋
あげている血が流れるのを眺め、それが柔かな、冷たい、動かない、考えることもしない一塊りの肉にほかならないと思うのは、必ずや不思議な、心地よい快楽であろう。 八....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
銀の鶏……ではあれども、職人|頭は兄弟分、……まず出来た。この形。)と雪を、あの一塊……鳥冠を捻り、頸を据え、翼を形どり、尾を扱いて、丹念に、でも、あらづもりの....