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一夏
「一夏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一夏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
屋根へ来るのさえ、おっかなびっくり、(坊主びっくり貂の皮)だから面白い。 が、
一夏縁日で、月見草を買って来て、萩の傍へ植えた事がある。夕月に、あの花が露を香わ....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
一 僕は
一夏を国府津の海岸に送ることになった。友人の紹介で、ある寺の一室を借りるつもりで....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
で居たようでありました。幸い義兄の病気も、夏に向うに連れて段々快方に向うようで、
一夏養生を続けたならば健康を恢復するだろうと姉夫婦も私も私達の父母も、愁眉を開い....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
俺達が働かなかったら、一匹の蟹だって、金持の懐に入って行くか。いいか、俺達がこの
一夏ここで働いて、それで一体どの位金が入ってくる。ところが、金持はこの船一艘で純....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ら森戸、葉山をかけて、夏向き海水浴の時分、人死のあるのは、この辺ではここが多い。
一夏|激い暑さに、雲の峰も焼いた霰のように小さく焦げて、ぱちぱちと音がして、火の....
「女客」より 著者:泉鏡花
っては、それこそお家は騒動ですよ。」 「騒動どころか没落だ。いや、弱りましたぜ、
一夏は。 何しろ、家の焼けた年でしょう。あの焼あとというものは、どういうわけだ....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
こも不景気で、大したほまちにはならないそうだけれど、差引一ぱいに行けば、家族が、
一夏避暑をする儲けがある。梅水は富士の裾野――御殿場へ出張した。 そこへ、お誓....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
は長し……昨日や今日の事とは思わなかったんですのに――昨年、店の都合で裾野の方へ
一夏まいりまして、朝夕、あの、富士山の景色を見ますにつけ……ついのんびりと、一人....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
佐久良藩の碩儒で、むかし江戸のお留守居と聞けば、武辺、文道、両達の依田学海翁が、
一夏土用の日盛の事……生平の揚羽蝶の漆紋に、袴着用、大刀がわりの杖を片手に、芝居....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
富岡先生の居間、即ち彼がその昔漢学の素読を授った室に通った。無論大学に居た時分、
一夏帰省した時も訪うた事はある。 老漢学者と新法学士との談話の模様は大概次の如....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
すから、ちょっと申上げておくのであります。 さてこれは小宮山良介という学生が、
一夏北陸道を漫遊しました時、越中の国の小川という温泉から湯女の魂を託って、遥々東....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
に朽ちる憂はない。それだけにまた、盗賊の棲家にでもなりはせぬか、と申します内に、
一夏、一日晩方から、や、もう可恐く羽蟻が飛んで、麓一円、目も開きませぬ。これはな....
「蚤」より 著者:斎藤茂吉
袋を作ってもらい、嘗て高等学校の寄宿寮で為したようにし、一睡一醒の状態で辛うじて
一夏をおくったが、蚤等は、袋の中に這入れない時には、僕の頸のところに集って来て存....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
でてごらんなさい。復興途上の街というものは一ヶ月に三年ぶんぐらい変るものですよ。
一夏で銀座もまるで変りましたよ。食事がてらブラついてごらんなさい」 長平はオッ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
いて、暑中休暇は、いい間の体裁。東京の下宿に居るより、故郷の海岸で自炊をした方が
一夏だけも幾干か蹴出せようという苦しがりで、とても相談の成立ちっこはありません。....