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「一奇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一奇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
親という二字」より 著者:太宰治
には、このように全然駄目なところがある。しかし、一生、これ式で押し通したら、また一奇観ではあるまいか、など馬鹿な事を考えながら郵便局に出かけた。 「旦那。」 ....
紀行文家の群れ」より 著者:小島烏水
もの無之候へども欧州各国を通し候ても、諾威の山岳国にのみ此種の文学を出せしことも一奇と存候其作数種有之著者ビョルンソンは御存知のごとく、イブセンと諾威文学の牛耳....
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
ずることにせねばなるまい。 三七 処分可レ依二腕力一 「古事談」に次の如き一奇話が載せてある。 覚融《かくゆう》僧正臨終の時に、弟子共が、遺財の処分を定....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
、局部を消毒した脱脂綿も見当らなければ、注射の後で絆創膏を貼った形跡もないのが第一奇怪と云わなければならぬ。反証はこれ一つで沢山だ。 ところでいよいよ他殺でも....
詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
蒙昧《もうまい》愚劣、憫殺《びんさつ》すべきの徒輩であるが、ただ彼等の中にあって一奇とすべきは、巨頭の斎藤茂吉である。彼は医者の有する職業的の残酷さと唯物観とで....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
《いた》み候へ共、小名浜の漁村に至りて、ここに計らずも雲井なにがしと名乗る山形の一奇士と会し、相携へて出発、同氏にそそのかされて、磐城平より当然海岸伝ひに北上い....
関牧塲創業記事」より 著者:関寛
実に驚くのみ。依て百方其害を防ぐに忙きも、其効を見る事能わざるなり。 七月三日、一奇遇あり。一官吏来り泊す。伴氏と告ぐ。然るに予は先年|伴鐵太郎なる者を知れり。....
生前身後の事」より 著者:中里介山
説の方面に進出し、まあ、相当の成功を見るようになったのは、社中の誰も彼もが皆んな一奇とするところであったが、その辺のことも書けば長いから略するとして、さて、大菩....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
ヶ年なれども、なお得意の大多数は自分が代がわりの中村屋たることを知らない。ここに一奇談あり、我が店の近隣に、本郷区にても屈指の下宿屋がある。かつて先代中村屋店主....
話の種」より 著者:寺田寅彦
、その時雌は呼吸を止められるから必死になって逃げ出そうと藻掻くそうである。けだし一奇観であろうと想像される。足の脱離する方の種類では、雄が自身に落ちた足を持って....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
地もいにしへは入江あるひは流水のところにて其性をつたへて今に片葉に生ずるか風土の一奇事と云べしつのくに鵜殿《うどの》のあしと同品なり」と書いてある。そしてその片....
学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
の切れのごとき男を崇《あが》めて奥ゆかしき先生なぞと称するに至りしは、人間世界の一奇談なり。今この陋《いや》しき習俗を脱して活発なる境界に入り、多くの事物に接し....
随筆 寄席囃子」より 著者:正岡容
。人物情景もよく出ていた。たまたま昼間から長田幹彦氏の「蕩児」を読んでいたことも一奇ですが、何にしても私は幼い日の下町を美しく思い出していたのです。古い暖簾、黒....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
のせて上下するあり。船側に小汽船を連結してこれを動かす。その数三百艘ありという。一奇観なり。船中より市街を側観して、野外の晩景を迎う。高塔の丘上または岸頭に屹立....
春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
、其他の諸版で世間に流布したのが、遂に此戯作者の筆にまで伝ったことは、また文壇の一奇談といわなければならぬ。 今試みに「蟻と蝉の話し」の一節を引用する。挿絵に....