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「一寸見〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一寸見の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
し》なども打ってある。その釘隠が馬鹿に大きい雁《がん》であった。勿論《もちろん》一寸見たのでは木か金かも知れないほど古びている。 僕の母なども先祖の言い伝えだ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
のある、眉の秀でた、ただその口許はお妙に肖て、嬰児も懐くべく無量の愛の含まるる。一寸見には、かの令嬢にして、その父ぞとは思われぬ。令夫人は許嫁で、お妙は先生がい....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
を披露して、控目という徳性を満足させておきながら、欲念というような実際の弱点は、一寸見には見つからない程、綿密に上手に隠しおおせていたではないか。そういう態度を....
空中墳墓」より 著者:海野十三
私の左腕から迸る血潮に驚きの目を瞠った。 新宿へ出る迄に傷の手当を終り、衣服も一寸見ては血痕を発見しえないように整えることができた。十字路で約束通り相良十吉を....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
の雌だか雄だか解らない二匹の蝙蝠が上下になって、ネオンサインで描き出してあった。一寸見たところでは、薄汚い極くありふれたカフェではあったが、私は何ということなく....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
投げかけながら、透したり指で触って見たりしていたが、不意に私達を振り返った。 「一寸見に来給え」 そこで私達も船体に寄り添って、東屋氏の指差す線に眼を落した。....
大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
も木曾も、いい具合に息をふきかえしたらしいな」 艇長は、にっこりして幕僚の方を一寸見たが、すぐ又、電文の方に眼を移した。なかなか、長い報告だった。 “……しか....
地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
」 「あっ。林檎だ! こっちへ、よこせ」 「だめです。自分が見つけたんです」 「一寸見せろ。この林檎は、どこにあったのか」 「軍曹どの、半分ずつ食べることにしま....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
までが間が抜けたような気がしますね。」 彼女は漠然とした明るく寂しい巴里の空を一寸見上げて深い息をした。新吉は菓子フォークで頭を押えるとリキュール酒が銀紙へ甘....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
御座居ます」 「紙切れを――?」 「へえ。何か書いた物をビリビリ引裂いたらしく、一寸見付からない様な雑木林の根っこへ一面に踏ン付ける様にして捨ててあったものです....
明暗」より 著者:岡本かの子
一個の美青年だった。眼鏡の下の三木雄の眼はその病症が緑内障であるせいか眼鏡の下に一寸見には生き生きと開いた眼に見えた。行き逢う人達の何人が、三木雄を盲青年と見た....
私の仕事 松篁の仕事」より 著者:上村松園
品の椿でも、大きな絹のまん中に“トボン”と描いてあるのだなぁとからかうと、反対に一寸見ると面白いとか、趣があるなどというような詰まらぬ絵は描かんと申します。 ....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
ている顔が殊更に引き立って見える。食堂へ出て来る。 奥さんは遠慮らしく夫の顔を一寸見て、すぐに横を向いて、珈琲の支度が忙しいというような振をする。フレンチが一....
四つの都」より 著者:織田作之助
寿「これですよ、こんなもの見る趣味はないと、お言いだった癖に……」 庄平「いや、一寸見て置きたいんで」 写真を見る。初枝の写真だ。 庄平、微笑する。 庄平「やっ....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
して、何といっても惜しいことである。あの川をはさんだ両側の夜桜の風情の如き外には一寸見られぬものであったが、墨堤の桜が往年の大洪水以来次第に枯れ衰えたと同様に、....