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一封
「一封〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一封の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
で彼は敵打《かたきうち》の一行《いっこう》が熊本の城下を離れた夜《よ》、とうとう
一封の書を家に遺して、彼等の後《あと》を慕うべく、双親《ふたおや》にも告げず家出....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
暇をとったのは、この養女が死んだ時で、可哀そうにその新仏が幼馴染のお敏へ宛てた、
一封の書置きがあったのを幸、早くもあの婆は後釜にお敏を据えようと思ったのでしょう....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
タアを叩《たた》いている。そこへ紅毛人の婆さんが一人静かに戸をあけて女に近より、
一封の手紙を出しながら、「読んで見ろ」と云う手真似《てまね》をする。女は電灯の光....
「或る女」より 著者:有島武郎
えながら封を切って中から卒業証書のような紙を二枚と、書記が丁寧に書いたらしい書簡
一封とを探り出した。
はたしてそれは免職と、退職慰労との会社の辞令だった。手紙....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
は微笑の代わりに苦い嫉妬の色が濃くみなぎっていたかもしれない。 その晩になって
一封の手紙が君から届いて来た。やはり厚い画学紙にすり切れた筆で乱雑にこう走り書き....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
に朝霜の焚火の残ったような鶏頭が幽に燃えている。その陽だまりは、山霊に心あって、
一封のもみじの音信を投げた、玉章のように見えた。 里はもみじにまだ早い。 露....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ら、)といったッきり、もう咽喉がすうすうとなった。 その上また母親はあらかじめ
一封の書を認めておいて、不断滝太郎から聞き取って、その自分の信用を失うてまで、人....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
まで使いにやられることになってしまった。その用向きはなんだか知らないが、父は僕に
一封の手紙を渡して、これを田崎の小父さんのところへ届けて来いと言ったばかりであっ....
「雨」より 著者:織田作之助
かい。それになんでんねん……」 電車会社の慰謝金はなぜか百円そこそこの零砕な金
一封で、その大半は暇をとることになった見習弟子にくれてやる肚だった。 そんなお....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
質に入れて、五つの条件を契約した。 一、明日紅蝋燭一対(目方一斤の物に限る)線香
一封を趙家に持参して謝罪する事。 二、趙家では道士を喚んで首|縊りの幽霊を祓う事....
「月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
には錠がおろしてあって、それがもう錆ついているのを叩きこわしてみると、箱の底には
一封の書き物と女の黒髪とが秘めてあった。その書き物の文字はいちいち正確には記憶し....
「瘤」より 著者:犬田卯
立木を無断伐採しているところなどを、沼へ鴨打ちに出かける瘤のために発見されて「金
一封」で事なきを得ていたし、村内殆んど全部の地主たちは、かつて左翼華やかなりし頃....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
自白した彼を「晴天白日」の身にしてやったばかりである。そしてR自身、そのために金
一封、五百円ばかりを使ったばかりである。 そのRが全く「性懲りもなく」俗に相田....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
農夫発見して届け出ず。 一、墜死者綿井茂一は、D飛行場出発前、飛行場員に託し、
一封の手紙を投函せんとした。場員は受取った儘おいたが、事件報知と共に、警察官立会....
「雨」より 著者:織田作之助
どうでもえゝことですから。それに」電車会社の謝罪金は何故か百円にも足らぬ僅少の金
一封で、その大半は、暇をとることになった見習弟子に呉れてやる腹であった。 そん....