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一尺
「一尺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一尺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
ら、橋の下のうす暗い洲を、いよいよ足早に歩き始めた。その内に川の水は、一寸ずつ、
一尺ずつ、次第に洲の上へ上って来る。同時にまた川から立昇《たちのぼ》る藻《も》の....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
天の川と一つでいるのを眺めますと、どうやら数え切れない星屑が、洛中の天を傾けて、
一尺ずつ一寸ずつ、辷る音まではっきりと聞きとれそうに思われました。
その中に私....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
うなものではない。第一これは顔を除いて、他はことごとく黒檀《こくたん》を刻んだ、
一尺ばかりの立像である。のみならず頸《くび》のまわりへ懸けた十字架形《じゅうじか....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
う呟いた。が、限りなく深い、限りなく蒼い空は、まるでそれが耳へはいらないように、
一尺ずつあるいは一寸ずつ、徐々として彼の胸の上へ下って来る。その蒼い※気《こうき....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
鼻上耳脇また頭《かしら》に疵《きず》二三ヶ所、背中右の脇腹まで筋違《すじかい》に
一尺五寸ばかり」である。そこで、当番御目付土屋長太郎、橋本|阿波守《あわのかみ》....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ほこった自然の領土である森林も等しなみに雪の下に埋れて行った。一夜の中《うち》に
一尺も二尺も積り重なる日があった。小屋と木立だけが空と地との間にあって汚ない斑点....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
、頭の大きい、鼻のしゃくんだ、黄色い顔が、その長さ、大人《おとな》の二倍、やがて
一尺、飯櫃形《いびつなり》の天窓《あたま》にチョン髷《まげ》を載せた、身の丈《た....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、河岸の朝の月影は、まだその鱗に消えないのである。 俎板をポンと渡すと、目の下
一尺の鮮紅、反を打って飜然と乗る。 とろんこの目には似ず、キラリと出刃を真名箸....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
、幾百条とも知れない、おなじような蛇が、おなじような状して、おなじように、揃って
一尺ほどずつ、砂の中から鎌首を擡げて、一斉に空を仰いだのであった。その畝る時、歯....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
れに対すると、客に会釈と、一度に、左右へ言を切って、一樹、幹次郎は、すっと出て、
一尺ばかり舞台の端に、女の褄に片膝を乗掛けた。そうして、一度|押戴くがごとくにし....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
た横切る。 それがまた思うばかりではなかった。実際、其処に踞んだ、胸の幅、唯、
一尺ばかりの間を、故とらしく泳ぎ廻って、これ見よがしの、ぬっぺらぼう! 憎い気....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
『木の枝を折っているナ……。』 お爺さんがそう言われている中に、天狗さんは直径
一尺もありそうな、長い大きな杉の枝を片手にして、二三十|丈の虚空から、ヒラリと身....
「活人形」より 著者:泉鏡花
支度整え、「どれ後を跟けましょう。「くれぐれも脱心なよ。「合点だ。と鉄の棒の長さ
一尺ばかりにて握太きを小脇に隠し、勝手口より立出しが、この家は用心厳重にて、つい....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
を連れて来ましても、船を扱わせるだけで、場所の見立ては、何時も御自身なのです。も
一尺岡によれとか、三尺前に進めろとか、鈎先はそりゃ喧ましいです。それだから又釣れ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
どりに蹴返さるる落葉の音が四辺の静かさを破ってひっきりなしに続いてゆく。朝露が裾
一尺ばかりを湿して草鞋はだんだん重たくなってくる。朝日がようよう高い東嶺を抜け出....