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「一山〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一山の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
うから、時々ここへ聞えて来る、かすかなタイプライタアの音だけであった。 書類が一山片づいた後《のち》、陳《ちん》はふと何か思い出したように、卓上電話の受話器を....
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
にたってしまう。その上荒れはてた周囲の風物が、四方からこの墓の威厳を害している。一山《いっさん》の蝉《せみ》の声の中に埋《うも》れながら、自分は昔、春雨にぬれて....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
金庫が防火の功名を誇り顔していた。四隅が焦げたカードやルーズリーフや書類が堆かく一山になっていた。 『何時ごろ?』『四時半ごろ。』『火許は何処?』『富田のアイロ....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
と、麓の牛が白象にかわって、普賢菩薩が、あの山吹のあたりを御散歩。 まったく、一山の仏たち、大な石地蔵も凄いように活きていらるる。 下向の時、あらためて、見....
栃の実」より 著者:泉鏡花
つ、水は蜘蛛手に岨を走って、駕籠は縦になって、雲を仰ぐ。 前棒の親仁が、「この一山の、見さっせえ、残らず栃の木の大木でゃ。皆|五抱え、七抱えじゃ。」「森々とし....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
の顔が見たいぞいの。」 と言うと、持った杖をハタと擲げた。その風采や、さながら一山の大導師、一体の聖者のごとく見えたのであった。 大正十二(一九二三)年一月....
露肆」より 著者:泉鏡花
と並べて寂しい。 茶めし餡掛、一品料理、一番高い中空の赤行燈は、牛鍋の看板で、一山三銭二銭に鬻ぐ。蜜柑、林檎の水菓子屋が負けじと立てた高張も、人の目に着く手術....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
して見て、その頭に当る所を、夜中にそっと掘って見たら、大きな車にも余る位、黄金が一山出て来たのです。 大金持になった杜子春は、すぐに立派な家を買って、玄宗皇帝....
不周山」より 著者:井上紅梅
体を照らし、宇宙の間に最後の肉紅色を現わした。 火の柱は漸次に昇り、ただ蘆灰の一山のみを残した。彼女は天が一面に紺碧色になるのを待って、ようやく手を押してさわ....
幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
…」 堪え切れなくなって彼はふり返ってみた。すると、彼の背後の本棚の脇には已に一山の白菜置場が出現している。下層は三株、真中が二株、上が一株で、彼に向ってはな....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
散策子は思わず海の方を屹と見た。波は平かである。青麦につづく紺青の、水平線上|雪一山。 富士の影が渚を打って、ひたひたと薄く被さる、藍色の西洋館の棟高く、二、....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
です。その後、幸野楳嶺先生に師事し、先生の歿後、竹内栖鳳先生を師といたしました。一山のスケッチ帳 人物画は、江戸絵、錦絵のあった、東京方面にはよいお手本もあり....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
たのではない。もうこの時は、樹島は既に摩耶夫人の像を依頼したあとだったのである。一山に寺々を構えた、その一谷を町口へ出はずれの窮路、陋巷といった細小路で、むれる....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ってけ。賭博場のまじないだ。みを食えば暖か暖かだ。」 と雨垂に笠も被らないで、一山ずつ十銭の附木札にして、喚いている。 やっぱり綺麗なのは小鯛である。数は少....
西航日録」より 著者:井上円了
ところなり。北方一帯はヒマラヤ連山をもって囲繞し、畳々綿々、一峰は一峰より高く、一山一山より大にして、天が狭いといわんばかりの勢いなり。ゆえに余は、 喜麻拉亜....